漏れ出す力
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が、遮り得られるはずの情報を逃すこともない。聞き役に徹するのが正解だろう。
「堕天使も、他に複数潜伏しているが、私はこれ以上関わるつもりもない。ああ、それとその子の神器をよく、調べてみるといい」
そう、言いながら背を向け、踵を返す白髪の女性。
警戒と治療の手を止めることなく、リアスはその背中を凝視するが、彼女は本当にその場から立ち去ってしまった。
「.......」
リアスの一気に緊張の糸が切れ、ドッと疲れが押し寄せる。
それも仕方ない。文字通り、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされ、その上での魔力による応急処置だ。とりあえず危機は脱した。あとは自然治癒でもどうとでもなるレベルまで、回復を行えた。
肉体的負担は勿論、それに加え、情報量が余りにも多すぎた。
肉体、精神共に疲労困憊ここに極まる。
堕天使の遺体も処理も含め、この公園の後処理も連絡する必要がある。
色々、本当に色々調べる事とやるべき事が増えたが、一先ずは、眷属の本格的な治療が先決である。
「さすがに、疲れた、わね。申し訳ないけれど、この子を家に送ってそのまま私も寝させてもらおうかしら.....」
手をかざすと、紅い紋様の魔方陣が起動し、リアスと一誠を光が包み込み、数秒としないうちに、その場から姿を消した。
──○○──
ジャリ、と土を踏む音が冥界の辺境で響いた。
その音の主は黒髪の、制服の上に漢服を羽織った青年。
その瞳は力強く、前のみを見据えている。
肩で、神々しさを発揮する槍を弄びながら、傍らの仲間に最終の確認を行う。
「ゲオルク、レオナルド、準備はいいか」
「ああ、曹操。通用するかはさておきな。ここまで策を張り巡らしておいて自信が持てないのは情けない話だ」
「.......」
ゲオルクと呼ばれた青年は嘆息し、レオナルドと呼ばれた少年は何も答えず無表情のままであった。
「通用しないだろうな。間違いなく。俺も同じ思いだよ。それでもいいじゃないか、この身一つでどこまでやれるか試してもいい。寧ろ、そっちがいいな」
──彼の名は曹操。かの有名な中国の猛将の名を冠した青年は槍を。神殺しの槍を天高く掲げた。
「悪鬼羅刹神仏天魔全てよご照覧あれ、これより我が挑むは、大輪、不動の巨峰なり」
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