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相克の色目
漏れ出す力
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が、人間以外の気配を彼女から感じ得ない。

 

 だから分からない。これほどの力の正体が。

神器ではないだろう。聖書の神が作ったとするなら、真逆すぎる。

 

 権能や、血筋によるものだろうか。それでもこれほどの異常な力、耳にしたこともない。

 

 

 

 こちらへ歩を進めた彼女は、その遺体を彼女は一瞥しただけで、すぐに視線を他にやる。まるで、道に落ちていたゴミを確認したかのような所作だった。それきり、彼女が堕天使に視線を向けることはなかった。

 

 彼女は、触れては、出逢ってはならない類の化け物だ。

 

 

 何より、異常なのは、あの異常な闇を従えながら、平然としている彼女自身。

 

 異常の中で、正常を保つことは、最早正常ではない。

 

 

 思考の海に溺れるリアスを引き戻したのは、背後で倒れる兵藤一誠のうめき声だった。

 

 

 「......ァ、が」

 

 

 「っ!ま、ずい速く治療を」

 

 

 「あぁ、そうそう」

 

 

 完全に他事に意識を持っていかれていたリアスが、重傷である一誠を直ぐ様その場で応急処置を施そうとした寸前に、横槍を入れる白髪の女性。

 

 「........何かし、ら、用件があるなら、後で聞くからとりあえず今は、この子の治療、を」

 

 

 「分かっているさ。そう怯えないでくれ。君達に危害を加える気はない。先の事はすまなかったよ。それにその子は大丈夫さ、直ぐに死にはしない」

 

 

 肩を竦めながら、おどける白髪の女性。

さっきまでの冷たく無機質な表情からは一転、最初に姿を見せたときのように、また薄い笑みを浮かべていた。

 

 

 「手を止めて悪かったよ、もう私も帰るから治療を行うといい。その前にいくつかだけ、言っておこうかとね」

 

 そうは、言うが、彼女に対してリアスの警戒心は緩むどころか増す一方なのだ。

 

 そんな相手の前で治療を行い無防備を晒すのは論外と一瞬考えたが、考えすぎだと思考を切り捨てる。

 

 こちらを害するなら、こんなしち面倒な事をする必要はない。あの闇を顕現させれば今度こそ終わりなのだから。

 

 そんなリアスの気苦労など、知るよしもなく彼女は続ける。

 

 「私自身の存在は、君の兄様に聞くといい。気になるならね。それと、私はこの町で何かを行うつもりもないし、滞在もしない。安心して構わないよ」

 

 

 こちらの聞きたいことを全て自らわざわざ話す彼女の意図が読めないリアスだった
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