漏れ出す力
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たことと。
─────その闇が放つのは、怨念、恨み、恐怖、嫉妬、狂気、狂喜、怨嗟、呪詛───。
今度は、本気で、心の臓が、停まったかと思った。
脳が、本能が抗うことをやめようとするのが分かる。
魔力など、何の役にも立たない。
『コレ』は、ダメだ。
コレは、いけない。コレを感じてしまうくらいならば、死を選びそうになる。否、選ぶべきだろう。
この恐怖は、耐えれるものではない。
耐えていいものじゃあ、ない。
コレは、向き合っていいものでもない。
ありと、あらゆる負の感情と、禍々しさをぐちゃぐちゃに混ぜたかのような、見るだけで、いや、認識せずとも近くにいるだけで発狂死しそうな程の呪怨の塊。
憎悪そのものが形を為せば、ああいうものになるのだろうか。
白髪の彼女が、実際『闇』を展開したのは一秒程でしかなかった。
だが、リアスには少なくともその五倍には感じられた。
咄嗟にソレから、視線を逸らしたリアスだが、今まで感じたことのない恐怖感に、腰を抜かし、へたりこむ。
「ウッッッ、グッ」
胃からこみあげてくるものを、必死に口内で抑え込む。それが、今のリアスに出来る精一杯の行動だった。
寧ろ、己の消滅魔力で死を選ばなかっただけ大したものだ。
「───あぁ、すまないリアス・グレモリー。少々『濃かった』ね.....」
そこで、へたりこむリアスに気付いた白髪の女性が言葉を言い終えると同時に、あの闇は消え去り──。
ドサッッッッ、と。
上空から、何かが、落ちてきた。
それは、白目を剥き、恐怖に顔を歪め、変わり果てた堕天使ドーナシークの遺体だった。
その死体を見ても、やっぱり、としか感じなかった。
彼は、あの『闇』が総てに向けて無造作に放つ憎悪に耐えられず、肉体が死を選んだに違いない。
上級悪魔であるリアスでさえ、あと数秒視ていれば、同じように無惨と化していただろう。
恐らく中級にも満たない堕天使では、即死だったはずだ。もう、戦う戦わないなどの次元ではない。
彼女から感じる気配は人間だ。正確にいえば、リアス自身そこまで相手の種族を確実に見極めるほどの経験と術があるわけではない
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