漏れ出す力
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しか能のないレア神器持ちを我ら堕天使組織に招き入れるなどありえん」
滞空している、堕天使が彼女に向かいそう断言した。
詳しい成り行きは知らないが、どうやら彼女が求める人物が彼等、堕天使の組織に所属しているかもしれず、その真偽を巡っての二人のやり取りだった。
事の是非は兎も角、大したものだ、とリアスは内心で堕天使に若干の賛辞を送る。
異形である、悪魔と堕天使に、人間にしか見えない者が何もしていないにも関わらず、場の主導権を握る。
それを成し得ているのは、彼女から感じるモノに対する恐怖心だ。
それをはね除けたのか、自棄になったのか。おそらく後者であろうが、元凶の機嫌を損ねるような物言いを言い放った事に良くも、悪くもリアスは感心する。
本来なら、気位の高いリアスが、多少の危機を覚える程度の相手ならここまで竦み上がる事はない。
本来で、あれば。
今に限っては相手が悪すぎる。リアスの生存本能が全開で警鐘を鳴らし、脳は逃走を促す。
それでも逃げないのは、リアスの背後には新しい眷属の、兵藤一誠が予断を許さない怪我を負っている事からの主としての矜持。
そして領地を魔王より預かる者として、不審な者の侵入、堕天使が何かを起こそうとしている気配を察した以上それを見極める必要がある故の、領主としての責任。
それらが、リアスをここに留めていた。
だから、リアスに比べるとしがらみの少ない筈の堕天使が逃走せずに、いることが不思議で仕方なかった。
あの堕天使にも譲れぬものがあるのだろうか。
だが、その選択は間違いでしかなかった。
演技臭さがあったさっきまでとは、異なり抑揚のない、平淡な声が、本当に心底どうでもよさそうにボソッと呟く声が聞こえた。
「そうかい。ならもういい。自分でどうにかするさ」
瞬間。
白髪の彼女を中心として、地獄の釜が開いた。
漆黒。純黒。一切の不純物がない、混じり気のない黒。
月の光すら飲み込むような、まるで奈落の底を覗いてるかの黒。
夜の水面のように、光を反射することもなく、光沢もない。
誇張なしに、深淵の如く。
そう、『闇』が彼女の足元に広がっていた。
驚くは、いつそれを展開したか全く察知できなかっ
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