漏れ出す力
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面の筈だが」
言ってから、上空から言葉を投げ掛けた無礼に後悔する。
断るとドーナシークは他者に対してあまり敬意を以て接することは少ない。
そんな彼がそこまで気にかけるのは、彼女が持つ不気味な雰囲気と、生存本能がそうさせるのだろう。
───強者に対して弱者が取るべき行いは、逃走か、反逆か、服従しかないのだから。
幸いにも、それが彼女の虎の尾を踏んだことはないようだった。
「大した事じゃない。近々君たち『教会』のところに癒しの聖女が、来るそうだね....無理は言わない、彼女と少し会ってみたいんだ」
何故それを、と声に出さずに相手に確定的な情報を与えなかったのは褒められるべきだろう。
いや、わざわざ表に出していない筈の情報を持っている時点で、向こうが確信してカマをかけている可能性も棄てきれない以上は、シラを切り通すのも危ない。
それでも、ドーナシーク達にとって癒しの聖女は計画の要なのだ。レイナーレが手管をこらし、本来なら別の組織へ左遷される彼女を無理矢理こちらへ引き込んだのだ。それにかかった労力は数知れない。
更に、長く堕天使として色々な者と相対したドーナシークでさえ、こんな異常という言葉がそのまま人の形となったような不可思議で恐ろしい存在に会ったことはない。そんな者と、癒しの聖女を会わせることは、避けたかった。ここは、否定するしかない。
だから
「.......知らんな、何の話だ?」
間違ってしまった。
「癒しの聖女だと?たかが、治すしか能のないレア神器持ちを我ら堕天使組織に招き入れるなどありえん」
ドーナシークは、ここで嘘でもよかった。とりあえずでも、YESと肯定の意を示すべき、だった。
そうしていれば
「そうかい。ならもういい」
少なくとも、死ぬことだけはなかった。
── ──
リアス・グレモリーは、堕天使と謎の女性との会話の内容を咀嚼しながら、この領地で何かが行われようとしていると、判断。
直ぐ様にも、堕天使と彼女に問い詰めたかったが、ただそこに居るだけにも関わらず彼女から漂う怖ぞ気立つようなプレッシャーが、リアスに行動一つも、口を開かせる事すら許さなかった。
まるで、心臓を冷たい手で無造作に、鷲掴みにされた気分だ。
「たかが、治す
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