漏れ出す力
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。
その正体は公園の入り口から悠然と歩を進め、ドーナシークの真下辺りに佇んでいた。リアスが張った人払いの結界など意にも、介さず。
違和感は言う。
「そういう訳にはいかないな、堕天使」
───純白。漆黒。それは二つの色のみで完成していた。
肩にもかからないほどの短さ、右目を覆うように整えられた髪は、降り積もる雪のような、一切の穢れを許さない純白。黒のみで構成された喪服を思わせる衣装から覗く肌も、澄み渡るように美しい。
此方を映し出す左瞳は、青と呼ぶにはかなり暗く、藍色と定めるにも更に暗い濃藍。
その唇は蠱惑的に赤く、薄く笑みの形を象った口と挑発的な表情、漆黒の衣装から覗く肌は見たものを、男女問わず情欲させる。
だがそんな神聖的な美しさと同時に、どうしようもないほど禍々しく濁った雰囲気も感じさせ、彼女の美しさを例えるなら、毒花の如き危うさを備えた美しさ。
人の手に触れられる事を許さず、命を落とすにも関わらずそれでも、触れようと、その姿を収めようとする者が後を経たず、その生を散らして逝く。その艶に当てられた者の末路が見えるようだ。
年はリアスと同じ程、いや、少し上にも見える。
少女というよりは、女性と言うべきだろう。
そんな突如として現れた第三者の、異様な雰囲気に気圧されながらも、リアスは問い掛ける。
「......どなたかしら」
「そう警戒しないでくれ、リアス・グレモリー。私が何者かなんてどうでもいいじゃないか。それにすぐ分かるさ」
右耳についた黒い水晶のピアスを何の気なしに、指でもてあそびながら、先程から変わらずに浮かべる笑みは絶やさずに、彼女は力強くも、鈴の音のように響き渡る、清涼な声を発する。
「気にするな....というのも無理な相談かな。
この街に用があったのは確かなんだが、ここにはたまたま通りがかっただけなんだ、そうしたら少し興味が惹かれたものでね」
饒舌、とまではいかないが迂遠に物事に対し話すその姿勢はまるで友人に話しかけるように砕けたものだった。
そんな突然の乱入者にドーナシークとリアスは、完全に彼女が放つ余りにも異様な雰囲気に呑まれ、行動に移す事すら出来ない。
次に口を開いたのは、上空に浮かんでいたドーナシーク。
これまでに感じた事のない圧迫感を受け、今すぐ逃げ出したいが、女性の形をした異物がこちらを呼び掛けた以上、無視するわけにもいかない。
「........何用だろうか、貴女とは初対
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