第一部
世間の風潮
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ので直接会いに来たわけだ。
「そっか。修業に夢中で忘れてたけど焔は龍帝の二年生って言ってたよな」
「一年くらい来てないけどね」
紫闇に答えた焔が聖持を見る。
「フッ。相変わらず強いことを判り難くしてるみたいだね聖持君は。君らしいけど」
「焔さんはちょっと妥協した方が……」
紫闇には二人の言葉にどういった意味が含まれているのか理解することが出来なかった。
なので教えられる。
『妥協』とは何なのかを。
焔曰く、『強者が優遇される』といった風潮は既に過去のものらしい。
人類と敵対していた側の上位存在。
つまり最後の【旧支配者】が大英雄ら七人によって倒されてから8年。
《ナイアー=ラトテップ》が置き土産として世界中に千個も残した【無明都市】
日本に存在した一つは七人の【魔神】が誕生したことにより無事に解放された。
「無明都市の四層目まで解放された時点で日本政府のトップ達は状況を楽観視したのさ。残りの三層も直ぐに解放されるって。実際そうなったしね。それ自体は良いことなんだけど」
焔は溜め息を吐く。
「でもその結果として魔神や魔神候補には以前より高い『英雄性』が求められるようになったわけだ。つまりは『プロパガンダ』だな」
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聖持によれば【天覧武踊】は最早、無明都市を解放する為ではなく、莫大な興業収入によって国庫を潤す金稼ぎのツールらしい。
「その為にも常に優秀な学生魔術師が増加することを望んでるってわけか」
紫闇は納得した。
「魔神や候補の英雄性が高いほど憧れる奴は増えていき学生魔術師が増えて儲かるような経済システムが出来上がってるんだ」
「だからもう【魔術師】にとって求められる第一の条件は『強さ』じゃない。カリスマ性の高い人格者が欲しがられるんだ。何処の学園もそうなってると思う」
日本以外もその傾向が強く、世界的な流れになっているので仕方ないと言えば仕方ないが。
「その点だとあたしは駄目だよ。憧れを抱くような人間は今の紫闇みたいなタイプが多い。つまりは少ないってことだね。それどころか魔術師のイメージを悪くする可能性の方が遥かに高い」
「だから焔さんは気を使って表の天覧武踊には出ないことにしたのさ。紫闇も一般的に見て行き過ぎた行為には気を付けた方が良いぞ」
焔自身は公式の試合で戦いたい相手が居ないわけではないのだが、ただ戦うだけなら別に表の世界でなくとも構わなかった。
だから普段は学園に通わず鍛えて備える。
「でも向子さんに誘われてますよね焔
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