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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第4話:迫る分岐点
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じて疑わなかった。

 だが彼女は知らない。その奏を以てして、駆け引きで敵う事が出来ない相手が居るという事を。

 そして、その人物ともう間もなく出会うことになるという事を。




 ***




 それから数十分後、奏と翼のライブは順調に進んでいた。一曲目は大歓声に包まれ、早くも二曲目に移ろうとしていた。

 その時、突如としてライブ会場となっているドームの中心が爆発し、黒煙が立ち上った。それと同時に姿を現す無数の異形、ノイズ。

 ライブ会場は一瞬で地獄絵図と化した。そう、まるで3年前の皆神山での惨劇の再現の様に、ノイズが人々に襲い掛かり次々と炭素の塵に変えていく。

 阿鼻叫喚響くライブ会場となっているドームから少し離れたビル、その屋上に────颯人は居た。彼は黒煙を上げるドームを見て、焦りを滲ませた顔で周囲を見渡している。まるで誰かを待っているかのようだ。

 と、その時、彼の隣に光と共にウィズが現れた。突然のウィズの出現に、しかし颯人は驚くよりも先に漸く着た事への不満を口にした。

「遅えぞッ!?」
「すまんな。こちらも少し忙しかったのだ」
「チッ…………それでウィズ、例の物は?」
「こいつだ。問題なく使えるぞ」

 颯人は、ウィズの手から二つの指輪を受け取った。宝石部分が大きい装飾となっている、全く同じデザインの指輪である。
 それを受け取り、颯人は満足そうに頷く。

「これを使えば、奏を助けられるんだな?」
「理論上は、可能ではある。後はお前の体が持つかどうかだ。念の為聞くが、本当にやるんだな?」
「へっ、愚問だぜ。もうとっくの昔に覚悟は決まってるんだ」
「…………まぁ、こちらとしては約束を果たしてくれるなら文句はない。好きにすればいい。死なない限りはな」
「安心しろ。お前の期待には応えてやる」

 颯人はそう告げると、右手に二つの内の一つを嵌め掌型のベルトのバックルに翳した。ウィズが身に着けているものと似たデザインのバックルだが、こちらは掌型のバックルの縁が金色だった。

〈ボンズ、プリーズ〉

 彼がベルトのバックルに手を翳すと、そんな音声が鳴り響き同時に彼の体を魔法陣が包む。それ以外に特に変わったことはなかったが、彼は特に不満そうにするでもなく再び満足そうに頷いた。

 そして彼は何らかの決意を固めたように顔を引き締め、今正に惨劇の場となっているドームに目を向けた。

 周囲には警報が鳴り響き、2人の上空を何かが通り過ぎて行った。航空機ではない。それは飛行型のノイズだ。

 頭上をノイズが通り過ぎて行ったのを見て、彼は右手の指輪を付け替えた。

「先に行くぜ、ウィズ!」
〈テレポート、プリーズ〉

 ウィズからの返事も聞かず、颯人
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