暁 〜小説投稿サイト〜
緋弾のアリア 〜Side Shuya〜
第2章(原作2巻) 堕ちし刃(デュエル・バウト)
第21弾 刃と刀(エッジ・トゥ・ブレード)
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 今まで放ったどんな斬撃よりも速く、そして強い一振りを。

「シュウヤァ!」

 周一の叫びが木霊した瞬間、俺は握り続けていた刀を両方とも離すと、周二の一振りを掴む。

「……真剣……白刃取り?!」
「捕まえたぜ……」

 相手の動きを抑え込んだところで、俺は叫んだ。
 勿論、アイツを! 

「マキッ!」

 俺の叫びに応えて、周二の真後ろにマキが現れる。
 現れたマキは、左右に握った『氷華』と『炎雨』で、音もなく斬り掛かる。

「……また増えた?!」

 驚愕しながらも、周二は靴裏でマキの攻撃を受け止める。
 そして、握っていた刀を離すと、マキの刃を蹴り上げた後にその場を離れる。
 間合いを開ききった瞬間、周二は背面から新たに剣を取り出した。
 それは紛れもない、西洋刀剣であった。
 剣を構え直した周二は、マキへと襲い掛かる。

 ……不味い! 今のマキは近接用の武装を何も持っていない! 
 俺はその場に落とした自身の雷鳴を掴むと、それをマキの方へと投擲する。
 それに気付いたマキは、受け取ろうとするのだったが、周二が雷鳴を弾き飛ばした。

「……しまった!」

 俺の言葉などお構い無しで、周二はマキへの攻撃を続行した。
 そして、振りかざされた一撃をマキは紙一重で避けた。
 直後、回避後硬直とも言える状況のマキに、周二は回し蹴りをかました。

 俺はそれを見た瞬間、霧雨を拾い上げ反射的にマキが飛ぶ方向へと走り出した。
 そして、吹っ飛ばされたマキを空中で受け止めることには成功したが、マキと共に資材棚へと突っ込んだ。

 同時に、凄まじい音を立てて、棚が崩れた。
 俺はマキに覆い被さるようにして、降り掛かる資材から守る。
 ボルトや釘、果ては鉄パイプまでもが俺の背中に降り注いだ。

「……ッ!」
「……シュウ……君?」

 自身を見上げるマキは、不安な表情で俺を見つめた後、現場を把握した瞬間、その瞳を見開いた。
 俺はそんなマキに微笑みかけると、再び歯を食いしばって落下が止まるのを待ち続ける。

 そして、物品の落下が止まった。
 しかし、俺の体は既にこの状態を維持するので精一杯であった。
 瞬間、張っていた腕の力が抜け、マキの上に倒れ込んでしまった。

「……シュウ君!」

 呼びかけるマキに応じる事もできない程、俺の体にはダメージが溜まっているらしい。
 下手したら意識が飛ぶかもしれないとさえ思った。

「あの落下物の中、よく仲間を守り切れたな」

 意識が遠のき始めた俺の耳に、嘲笑うような周二の声が届いた。
 俺は、震えるのみで動く気配のない体に力を込めた。
 が、動かすことは叶わない。

「3人がかりでこのザマ。見苦しいねぇ
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