第123話 "娘たち"は駆け出すようです
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なくなったら、渡してって頼まれてた、私の魂に隠された『創造物』。
それが、主神に砕かれた。
「・・・・ごめん、なさ・・・パパ、ママ・・・・・。」
もう、ダメだった。
意識が薄れ、涙が溢れて、視界が無くなるその時。
「――――――あぁ。」
パパとママが、主神の後ろで笑いをかみ殺しているのを見て。
安心して、意識を手放した。
Side out
Side ―――
ゴォォゥァッッ!!!!
「―――なんだ?」
握り潰した玉から、自身さえ滅多に創造しない"創力"が溢れ出し、困惑する主神。
それは溢れる傍から愁磨へ吸収されていく。
例え"創力"を増やしたところで何が出来る訳でもないが、傍観する理由も無く、主神は
その奔流を止めようとし―――
「―――何……!?」
初めて狼狽した。
自身の力を以て干渉出来ないのではない。自身が力を―――『創造』を使えなかった。
存在して初めての事に、余裕や様子見から来るものではなく、ただただ"隙"を見せる。
僅か一秒か、二秒そこらの現象が収まると、愁磨がピクリと身動きした。
「……ああ、串刺しなんてひでぇ事しやがる。」
「ええ、全く、躾がなってないわよねぇ。」
床に数センチしか刺さっていなかった槍は、屹立していたのが不思議なほどにいとも
簡単に抜け、それをズブズブと体から引っこ抜く。
しかし、それもまた主神にとって『有り得ない』事。
「(―――馬鹿な、アレは即創の部類とは言え、『縫い留める』事に特化した槍だ。
"創造者"たる魔人は兎も角、ルシフェルまで?)」
『創造』は一点の能力に絞る事で絶対的な効果を齎す。
それは『創造によって創られた物』でも、与えられる能力としての『創造』でも、絶対の
原則の一つだ。それを―――"主神が一つの能力に特化させた槍"を、抜き放った。
看過出来る領域を超え、遂に己が持つ『創造』を行おうとした時、二人が動いた。
「行くぞ、ノワール。」
「ええ、シュウ。」
お互いに向き合い、左手を絡め合う。そして―――
ザシュッ!!
「な――――」
取り出した『アトロポスの剣』で、ノワールの心臓を突き刺した。
Side out
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