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聖国のジルフリーデ 〜勇ましき姫と気高き女騎士と、男勝りな女戦士と妖艶な女盗賊は、媚薬の罠に乱れ喘ぎよがり狂うも、心だけは屈しない〜
屈服編 気高き女騎士は、獣欲によがり次代を身篭る
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 ――ジルフリーデ達が城下町に到着する、約1ヶ月前。
 帝国軍から大型船を奪うことに成功した彼女達4人は、強力な装備が隠されているという遺跡(ダンジョン)を目指して、海路を進んでいた。

『団長ッ! 私も共に戦います!』
『私に構うな、逃げろラフィノヴァッ! お前は何としても、姫様をお守りするのだッ!』
『し、しかし!』
『私のような騎士になりたい、かつてお前はそう言ったな! ……ならば今こそ、私を超えるのだ! 姫様を救い、この聖国の希望を紡ぐという……私ですら成し得なかった大任を、今こそ果たすのだッ!』

 そのさなか。満月に照らされた夜の甲板で1人、剣を振るい汗を流していたラフィノヴァは――そのたわわな果実を弾ませ、甘い匂いの汗を散らしながら、剣呑な面持ちで「過去」を振り返っていた。
 脳裏を過ぎるのはいつも、あの日の出来事。王城からジルフリーデを連れ、逃げることしかできなかった、屈辱の「過去」である。

『クッ、ククククッ! カッコいいじゃねぇか団長さん! あんた1人で俺を止めようってのかい? そういう命知らずな奴は嫌いじゃねぇ。俺達の仲間になる気はねぇか?』
『笑止! この命と誇り、全て聖国に捧げておるわ! 私が貴様らの軍門に降ることなど、万に一つもないと心得よッ!』
『おっほぉー、かぁーっくぃー! んじゃあ、その誇りに敬意を表して……あんたの首ちょん切って、街の真ん中で晒してやるぜェッ!』
『団長ッ……!』
『行け、ラフィノヴァッ! 姫様を……この国をッ! 未来をッ! お前に託すッ!』

 厳しくも優しく、自分を指導してくれた敬愛すべき騎士団長は。アンジャルノン将軍に一蹴された後、副官として猛威を奮っていたゾゴルドにも敗れ、その首を晒されたという。
 それを知った日から。この旅はラフィノヴァにとって、ジルフリーデやアリアレイテ、ひいては聖国そのものを救う――ためだけの戦いでは、なくなっていたのである。

「――はぁあぁあッ!」

 必ずゾゴルドを倒す。団長の仇を討つ。
 その必殺の信念を胸に振り抜かれる切っ先が、虚空を裂いて月夜に輝いた時――ラフィノヴァは背後の気配を察知し、とっさに振り返る。

「毎晩毎晩、何してんのかと思えば……そんなんで明日、まともに動けんの?」
「ベーナゼット……!」

 その先に現れたのは、先に休んでいたはずの元部下――ベーナゼットだった。気だるげに首を捻りながら、愛用の戦斧を持ち出していた彼女は、険しい眼差しでラフィノヴァを射抜いている。

「四六時中、アタシらの参謀気取りでやれ休めだのちゃんと寝ろだの言っといて、自分はそれ? 1番休まなきゃいけないのは、あんたの方じゃないの?」
「うるさい……私は何としても、奴を……ゾゴルドを倒し、団長の仇を討たねばならん
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