銀の弾丸
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攻撃は──再び、シルヴァディをすり抜けた。
既に瞳も爪も尾も元の白色に戻っている。シルヴァディ自身が、メモリを拒否したからだ。
チュニンとマーシャドーの表情が本気で驚いたものに変わる。
「バトル中に自分のタイプを変える特性……!? ですが、ここまでへんげんじざいなものではないはずです」
「……シルヴァディはもともと、ウルトラビーストに対抗するために生み出されたポケモン。だから、ウルトラビーストのレイが打ち出した弾丸は彼自身が拒否しようと思えばいつでも拒否できる。よって今は元に戻りノーマルタイプになる!」
だから、わたしとレイが打ち出すメモリとシルヴァディの意思で彼は自分のタイプを操れる。それはポケモンバトルにおいては特殊で強力なアドバンテージだ。
格闘タイプの技をゴーストタイプになってすり抜け、ゴーストタイプの技をノーマルタイプに戻って躱す。
「どれだけ攻撃力が高くなってても、ダメージを受けないタイプになっていればそのダメージは0倍! これで終わり! シルヴァディ、『燕返し』!』」
攻撃を思いがけない方法で躱されたマーシャドーの体を鋭い爪が捉える。影で出来た体が真っ二つになり、そのまま雲散霧消した。
「勝っ、た……!」
「……はい! お見事、第一予選クリアです! まさか攻撃力が十倍を超えたマーシャドーを倒せる人がいるとは思いませんでした!」
チュニンさんはわたしに歩み寄り、マーシャドーのカードを手渡される。カードの裏側にはわたしのエントリーナンバー、35番と書かれていた。
ひとまず第一予選をクリアできたことにホッとする。
だけど、これはあくまで最低限。大事なのはチュニンがわたしを認めてくれるかどうか。
「……面白い、面白いですね! ええ、そのシルヴァディ……是非チュニンの本気で倒してみたいです!」
わたしの手を取り、力強く振る。そこには少しの親しみと、バトルする前の顔色を伺うような緊張感は消えている……気がした。
「ですが、今は予選中。今度は予選のルールではなくガチンコでやりましょうね!」
「……うん、絶対勝つ!」
「素晴らしい意気込みです! それでは、次の挑戦者も来ているのでこれで! 次はチュニンのほうがそのシルヴァディを倒す策を練らせていただきますからね! ありがとうございました!」
わたしの後ろにワープホールが出る。認めてくれたのかはわからない。
それでも・・・・・・チュニンが笑ってくれたことにほんの少し顔をほころばせて。
嬉しさとほんの少しの寂しさ。シルヴァディとの過去を思い出しながら。わたしは予選通過のカードを握りしめてワープホールをくぐった。
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