模犯怪盗の迷推理
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る。玩具みたいな姿だけど、小さい砲身からは『ラスターカノン』や『ロックブラスト』を撃つことができる。ポケモンバトルだけじゃなくてわたし自身が戦うときの戦闘携帯の一つだ。
眉間に照準を合わせられてのんきにティーカップにお代わりを注ぐクルルクの手が止まる。
食らわせてやらないといけない。然るべき報いを。
「女子の部屋に勝手に入るなってアローラでも何度も言ってるでしょこのヘンタイ!!」
【レディのプライベートな情報を閲覧するのは重罪です!!】
『ロックブラスト』の乱れ打ちがクルルクの体を撃ち抜く。クルルクは椅子から転げ落ちるようにふっ飛ばされて窓際にぶつかった。
その音にびっくりしたテテフが、慌てて窓を開けてわたしとクルルクの間に立ちはだかって涙目になる。
「ライライ……」
窓の向こうのライチュウはやれやれ、みたいなため息。アローラでも珍しくないやり取りなので慣れっこといった感じだ。
一方クルルクはどこ吹く風で立ち上がりタキシードについた岩の破片を払う。リゾートの制約でポケモンの技によるダメージがないのはわかるけど、もうちょっと堪えてほしい。
「あはは、やっといつものラディらしくなったね。それじゃあ、改めて聞かせてくれないかな? このリゾートに来てから、君に何があったのかをね」
その言い方は、わたしが普通にリゾートを満喫しているとは思っていない。それを不思議に思うと。クルルクはゆっくりとわたしの目元を指さした。泣き腫らして戻ってきたわたしを見たとき、クルルクは事情を知らなくても察したのかもしれない。その上で、わたしに平常心を取り戻させるために知らない風を装ってくれたのかな……
「スズ……」
【……さすがに、この状況で隠し事は無理ですねえ】
「ああ、ラディが怪盗としてこのリゾートの緋蒼の石を盗むことになってるのは知ってるよ。リゾート中に告知が出てたからね。そしてそれはラディもここに来るまで知らなかった。違うかな? 出発前のラディが嘘をついていたとは思えないからね」
全部正解だ。ハッキングやピッキングの犯行の技術に加えて、探偵みたいな洞察力。今のわたしじゃとても及ばないくらい模範的な、怪盗。
それに比べてわたしは自分で八百長の犯行を拒否したくせに、第一予選でいきなり負けるし、シャトレーヌに同情されるし……
なかなか言い出せないわたしに、クルルクは堂々と宣言する。
「僕の推理を言おうか。君は宝を盗むことには了承したもののやはりリゾートを満喫したいと思った。そして晩ごはんにリゾート一番人気のメニュー、イカスミゴーストチャンポンを食べに行ったものの目の前で売り切れてしまう。ショックを受けた君は泣いて帰ってきたというわけさ!」
「全然違う! わたしは──」
見当外れに
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