模犯怪盗の迷推理
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せんよね……?】
テテフはアローラの中で特別なポケモン。一緒にいればそれだけで目立つ。キュービさんはクルルクを呼びたくなかったみたいだし、ここにいるのがバレたらスズは困るのかもしれない。
「別に構わないだろう? カプ・テテフもカードの一体としてリゾートに登録されてるんだから」
クルルクがティーカップを置く。するとその手に突然、ポケモンカードの束が現れた。直接見えているのは、カプ・テテフGXと描かれたカード。
「僕がついたのは今日のお昼なんだけど、このポケモンカードっていうのは面白いシステムだね。ポケモンの持ち主──『おや』をリゾートにしておいて、バトルの度に交換の形式を通して『おや』をカードの持ち主に変更。誰にでも言うことを聞かせてバトルが終わればまたリゾートに持ち主が戻る。このカードのテテフは、どんな気持ちでアローラとはなんの関係もないホウエンの人と一緒にバトルしているのかな……」
面白いね、という言葉とは裏腹にクルルクは少し悲しそうだった。でも、すぐにまたいつもの穏やかな表情に戻る。
「……どうしてわたしの部屋に来たの?」
「そうそう、このカードはポケモンバトルだけじゃなくて普通にカードゲームとしても遊べるじゃないか。一応このリゾートにも専用スペースはあるけど、せっかくだから最初はラディと遊んでみたいと思ってね」
【いえ、そうではなく。なぜラディの部屋がここだと?】
「初歩的なことだよ。まずラディは海外どころか旅行は初めて。ホテルの予約なんかしたことがない。頑張ったご褒美というならその辺の手続きはすべてスズがやったはず。そして、AIであるスズの行動は電子データとして記録が残っている」
なんでもないことのようにクルルクは言う。スズが個人的な情報を誰にでも見えるようなところに置いておくはずがない。つまり。
「だから出発前にちょっとハッキングしてラディが泊まるホテルは調べておいたんだ。ああ、心配しなくても僕は別のホテルで部屋を取ってあるからね。あんまり近いとラディは嬉しくないだろうし」
「で、わたしがいなかったから勝手に鍵を開けてのんびりくつろいで待ってたってわけ?」
「うん、さすがスズが用意しただけあって僕が泊まる安ホテルよりずっといい部屋だよね。解錠にもピッキングだけじゃなくて電子ロック用にライアーの手を借りる必要があったし。君の部屋じゃなければベッドに寝心地を確かめたいくらいだよ」
……生まれた瞬間から怪盗そのものみたいなこの人には、常識とか他人の部屋に勝手に入ることへの罪悪感みたいなものがない。
【ラディ、スズが許可します。やっちゃってください】
「……レイ、銃の戦闘携帯へ」
ボールからツンデツンデの一部が出てきて、わたしの手にレゴブロックで作った拳銃のような形で収ま
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