百鬼夜行の主
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だけど、チュニンが呼び出したのはジャラランガに比べれば遥かに小さい、その姿はまるで真上に登った灼熱の太陽に照らされてできた人影が、陽炎で揺らめいているみたいだった。
【ゴースト・格闘。一応アローラのポケモンですが、日輪の力を狙うものを見定める七星の裁定者という伝承が残るのみの幻のポケモンですね。まさか彼女が保有していたとは……いえ、というよりこの異常な攻撃力は一体……!?】
驚きを隠せないようなスズの声。アローラすべてのポケモンバトルを管理している彼女がバトル中に本気で驚くことなんてわたしは一度も知らない。
「……スターミー、サイコキネシス!」
「マーシャドー、影撃ちです!」
お互いに弱点をつく攻撃。影撃ちは先制技だけど、体力が全回復しているスターミーを一撃で倒すことはできないはず。なのに。
わたしが認識できたのは、真横を紫色のものが飛び抜けていってガラスのコップを壁に思い切り投げつけたような鋭い破壊音が響いたこと。
揺らめく陽炎を纏ったマーシャドーが無傷のまま、わたしよりも小さい両手を突き出して何か黒いモヤを放ったらしいこと。
振り向けば、スターミーが真ん中の赤いコアをひび割れさせて倒れ、完全に瀕死になっていたことだった。
「これこそまさに百鬼夜行、怪力乱神たる幻の力!……先制技で一撃で倒せばなんとかなるかもしれませんよ?」
わたしの正体を見抜いた上での意趣返しなのか、笑顔でいうチュニン。でも反応する余裕はわたしにはなかった。
先制技は威力が基本的に低いし『影撃ち』もそうだ。スズが攻撃力が上がっていると言ったけどだからって、あんな一瞬で……!?
完全に不意を突かれた緊張で心臓が嫌でも音を鳴らして目がかすむような感覚がする・でも、今はとにかく勝たなきゃ……
【とにかく、あの攻撃を防げる可能性のあるポケモンを出しましょう】
「……っ、お願いハッサム!」
フィールドに出たハッサムにもマーシャドーの攻撃力は伝わったのだろう、虫の知らせを受けたように僅かに身震いしたのがわかる。あんなメチャクチャな攻撃力を持つポケモンの前に立たされたらわたしだって怖い。
どういう理屈であの攻撃力なのかわからないけれど、ハッサムの防御力をまずできるだけ上げる!
「ハッサム、メガシンカしてそのまま『鉄壁』!」
ハッサムの体にエネルギーが集まり、より赤い鎧とハサミを巨大化させた形態に変化する。さらに防御力を大きく上げる技で、体の固く鋭く、ハッサム自身も自慢のハサミをクロスさせて守りの体制に入った。
「いい守りですね。しかしこのナイト・マーチの長たるマーシャドーにはその程度の守りなど乙女の柔肌にも劣るということを教えて差し上げましょう!」
「……やれるものなら」
脳裏に
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