フロンティア・オリジン
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リゾートに来て、二回目の夜。わたしは大会会場であるバトルシャトーにやってきていた。
もちろん忍び込む時の黒装束ではなくて普通の格好、青色のジャージにつば付きの帽子。
体型がわからないくらいゆったりした服に、髪を帽子の中に隠してショートに見せてるから、人によっては男の子にも見えるようなスタイル。
受付のお姉さんに、身分証と大会への出場届を確認してもらう。
「・・・・・・もう大丈夫?」
「はい! 緊張せず、楽しんでくださいね」
大会に申し込んでもらった招待状と、スズが偽造とした身分証を見ると、エントリーナンバーの書いたカードを渡してくれる。35番、という数字とわたしの名前。
【頑張ってくださいね、“グラデシア”ちゃん♪】
「・・・・・・スズはその名前で呼ばなくていい」
名前がアッシュ・グラディウスだともしかしたらアローラに詳しい人がわたしが怪盗だと気づくかもしれない。だから、グラデシアという偽名を使うことにした。スズ曰く、伝説の花の名前らしい。
カナズミシティのスクールに通う中学一年生で、今回リゾートには初めて来た・・・・・・という設定だ。
実際に宝を盗むタイミングまでは、怪盗は名乗らない。でも、盗み出すときに正体を明かすんだから実質今からの振る舞いが怪盗としてのわたしになる。
「思ったより、参加者は少ないのね」
たくさんの人がリゾートにいるからものすごい数になると思っていたけれど、会場に集まっているのは50人くらい。ただ、みんなそれぞれのボール・・・・・・いやカードを持っていてやる気に満ちている。その中には、昼間バトルしたサフィールもいた。声はかけない。変装してるから気づかれないと思うけど、もし正体をばらされたら困る。
【真剣勝負よりも遊びとしての意味合いが強い場所です。見物したい人の方が大多数みたいですね。いいじゃないですか、ライバルが少なくて】
「その分、たくさんの人に見られるってことでしょ」
【望むところでは?】
「・・・・・・うん」
大会の始まる時間。お城の広いエントランスホールに、老若男女が今か今かと待ちわびている。すると、階段の上の大きな扉が開き、リゾートの城主であるキュービさんが現れた。その後ろにはチュニンも護衛のように控えている。
「綺麗・・・・・・」
薄桃色のドレスを身にまとい、頭には白銀色のティアラ。首元に大きな宝石をつけたキュービさんは、まるで昔話のお姫様みたいだった。周りからも、言葉を失ったみたいな吐息が漏れる。
キュービさんはゆっくりと会場に来た全員を見渡す。その途中、眼帯のない方から見える赤い瞳が、わたしを見て微笑んだ気がした。
「皆々様。今宵はこのシャトーにご来場頂き、まことにありがとうございます」
みんなが
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