コラボ特別編:響き翔く天の道
乙女の嫉妬と迫る魔の手
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
聖遺物をその身に取り込むなんて、常識的に考えれば無謀以外の何物でもないぞ。……何がお前を突き動かしたんだ?」
天道響からそう問われ、翔は一拍置いてから答えた。
「俺は響を守る為に、この力を手に入れたんだ……」
「立花を?」
「ああ……。話せば、少しだけ長くなるけど」
「手短に頼む」
「分かってるさ。……そうだな。あれは──」
翔は、ライブ会場の惨劇から始まった自身と響の関係を語り始めた。
弱かったあの頃。後悔を胸に、人助けに邁進し続けた日々。
響との再会と赦し。そして、伴装者となり彼女を支え、その想いに気づくまでを。
聞き終えた天道響は、ただ一言呟いた。
「あの人が言っていた。『たとえ世界を敵にまわしても守るべきものがある』と……。お前にとっての立花は、そういう存在なんだな」
「ああ、そうだ。響を泣かせるやつは、俺が許さない。響には笑顔が一番なんだ……。ちゃんと謝らないと……」
「そうだな……。今、二課の方で立花の通信機のGPSを辿っている。そろそろ通信が来るだろう」
天道響が言い終わるか終わらないか、そんなタイミングで通信機が鳴る。
「はい!翔です!」
『翔くん!今送った座標に全速力で向かって!』
通信機から聞こえて来たのは、友里の声だった。
焦りの窺える声は、翔と天道響の足を突き動かした。
「まさか、響とネイティブが!?」
『ええ、その通りよ!急いで!敵は翔くんの姿に化けているわッ!』
数分前、街中の運動公園。
「なんでわたし、あんな事言っちゃったんだろ……」
響は翔に言ってしまった言葉を後悔していた。
公園の隅にあるベンチに座り、溜息を吐く。
「……こんな気持ち、初めてだ……」
これまで抱いた事の無い感情。
響は初めて、他人に嫉妬していた。
同じ顔で同じ背丈、声まで同じ。
当然だ。あれは並行世界の自分なのだから。
頭の中ではそうだと分かっていても、翔が他の女の子と近い距離で、仲良く語り合っている……。
自分が翔にとっての『一番』でいたい。
だからこそ、もしかしたらそれは思い上がりだったのかもしれない……などと思ってしまうのだ。
翔の恋人が自分である必要性があるのだろうか……?
そんな、ありもしない事を考えるだけで、胸が締め付けられるような気持ちになった。
しかし、こんな時に本部を飛び出して、心配をかけてしまっているだろう。
今頃、翔が自分の事を心配して、街中を駆け回っているかもしれない。
「……やっぱり、謝らなきゃ……だよね……」
後ろ向きな考えを振り払い、もう戻ろうかと考え立ち上がる響。
その時だった。
「響……」
名前を呼ばれて振り向くと、そこ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ