第7章:神界大戦
第226話「怖くて、それでも」
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、進んでいるわ。とこよさん達も、ユーリ達も、まだ足掻いている」
「凄い、よね」
自分は恐怖で動けないのに、他の人は前に進んでいる。
それが、余計にアリシアをその場に縫い付けていた。
「(……皆も、怖いはずなのに。……私は……)」
トラウマになって、恐怖を覚えて。
どうしようもなく、神界の存在が怖く思えて。
……それでも。
「(……何もかも諦めたまま終わるのだけは、嫌だ)」
アリシアは、前に進む事を選択した。
恐怖で体は縫い付けられたように重い。
だけど、それでも動かせた。
「(……優輝?)」
ふと、その時アリシアの胸に暖かい“何か”が灯った気がした。
それは、今この場にいないはずの優輝のもののように思えて……
「(……そっか、まだ諦めてないんだったね。優輝は、私達に後を託したんだ。後の戦いと、“可能性”を)」
それは、優輝の“可能性”の欠片だった。
背中を後押しするような、そんな効果しか今はないが、それで十分だった。
「諦めてない皆は、こんな気持ちだったのかな……?」
「……アリシア?」
「アリシアちゃん?」
しばらく黙った状態からの発言に、アリサとすずかは首を傾げる。
傍にいるリニスは、何かを感じ取ったように息を呑んだ。
「もう、大丈夫。……私も、諦めない。最期まで足掻くよ」
「アリシアちゃん……」
いつの間にか、恐怖による震えは消えていた。
それどころか、手足に籠る力が増していた。
「……ええ、そうね。立ち止まって諦めてちゃ、それこそ無意味よね」
「うん……!私も、私達も、やれる事は最後までやろう!」
つられるように、アリサとすずかも諦めまいと奮い立つ。
その胸に、暖かな“可能性”を感じながら。
「……ですが、どうするおつもりで?力量差は絶対的だというのに」
「前回と次、この二つで決定的に違う事が大まかに二つあるよ」
そこへ、リニスが現実的に考えてどうするつもりなのかと尋ねる。
リニスも諦めない意志は再燃していたが、それでも問うべきだと判断したためだ。
アリシアは、そんなリニスの問いに即座に答える。
「二つ?」
「一つ。前提として、前回は神界の情報がほとんどなかった。唯一の情報源である二人も洗脳されていたし、何よりもあの時は罠に嵌められた。でも、今度は違う。今度は、逆に私達が迎え撃つ番」
「あの時は、全て掌の上だったけど……最後の最後で、優輝さんやなのはが覆した。これによって、向こう側の想定外にいる状態なのよね」
初見か、初見じゃないか。その差は大きい。
加え、罠の可能性も低くなった。
「二つ。前回は向こうの土俵だ
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