第7章:神界大戦
第226話「怖くて、それでも」
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ません。私では、慰めの言葉が思い浮かびません」
「リニス……」
そっと添えるように、リニスはアリシアを抱きしめる。
そこで、アリシアは気づく。
抱きしめるその手が、ほんの僅かに震えている事に。
「(……皆、同じなんだ)」
そう。リニスもアリシアと同じように、神界の神に恐怖を抱いていた。
否、リニスだけではない。
今この場にはいないアルフも、治療に駆けずり回っているシャマルも。
他にも目を覚ましている者や、傷を癒している者も。
神界に赴き、戦った者達は皆、神界の神に恐怖を抱いている。
「(怖い、恐い。“天使”が、神が、あの邪神が。……でも、優輝はそれに立ち向かった。私達を助けるために、たった一人、あそこに残って)」
アリシアが気絶したのは、帰還直後だ。
そのため、優輝が何を想い、何を覚悟して残ったのかは知っている。
その上で畏れた。“どうしてそこまで出来るのか”と。
「(私達に後を託した。でも、恐いよ。怖いんだよ、優輝。どうしようもなく)」
一度冷静になってしまえば、嫌でも理解出来てしまった。
トラウマになった事で、神界がどうしようもなく恐ろしく思えるのだ。
「アリシア……」
「ごめん……しばらく、傍にいて……」
「……はい」
一人でいると、どうしても恐怖が勝ってしまう。
そのため、アリシアはリニスを頼り、リニスもまたそれに応えた。
「そっか……ヴィータもザフィーラも、まだ目が覚めないんか……」
「はい……傷自体はもう治っているんですけど、限界を超えた体の酷使による影響で、しばらくは目を覚ましそうにないです……」
「命に別状はないだけマシや。……ありがとな、シャマル」
一方で、はやても目を覚まし、行動していた。
現在は未だに眠るヴィータやザフィーラを看ていた。
「申し訳ありません……我らがもっと強ければ……」
「ええよシグナム。誰が悪かったとかやない。あんな……あんな規格外な相手、誰もが実力で負けてた。……こうやって生き残れた事自体が奇跡なんや」
「しかし……」
「これが、最善の結果やったんや!」
実力不足を悔やむシグナムに、はやては語気を荒げて言う。
はやても精神的に限界だったのだ。
アリシアと同じように、神界の存在に恐怖を抱き、必死に耐えようとしていた。
「これ以上、何をどうすればええんよ?全力、全力やった。私も、皆も、全力……それ以上の力で挑んだ。でも、歯が立たなかった。……そんなん、どうすれば勝てるゆうねん。私達は、どうすればええんよ!?」
「主はやて……」
「……ごめん。二人に当たり散らすような事やないな……」
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