第十五話 たまには食事でも楽しもう
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ーリッヒに関心が有る様だ。社会秩序維持局がエーリッヒを監視している」
気が付けば頭を振っていた。前代未聞だ。
「まあ確かに貴族達は危険かもしれない。カストロプの一件でエーリッヒを声高に非難する声は消えた。だがそれは怯えからだ。連中はカストロプ公爵家は帝国政府に潰されたと見ている。それにエーリッヒが絡んでいると見ているよ。レポートにはカストロプ公爵家の取り潰しが記されていたんじゃないかとね。怯えから暴発という事は十分に有り得るな」
エーリッヒが溜息を吐いた。
「私は反乱鎮圧の作戦は立案した。しかしね、それはマクシミリアンが反乱を起こす、フェザーンがそれを利用するかもしれないと考えたからだよ。カストロプ公爵家を潰す事を考えたのはリヒテンラーデ侯だと思う。私じゃない」
不本意そうだがフェザーンが関与すると想定すること自体、鋭すぎるだろう。おまけにアルテミスの首飾りが使われると考える等普通じゃない。周囲がエーリッヒを畏れるのは已むを得ない。
「統帥本部も危ないぞ」
「統帥本部? どういう事だ、ギュンター」
俺が問うとギュンターが“ロタール作戦部長だ”と言った。
「エーリッヒに作戦部長の椅子を奪われるんじゃないかとピリピリしているらしい。何かと比較されて肩身の狭い思いをしているとも聞いている。時々ヘルトリング情報部長と話し込んでいるらしい。情報源は情報部の人間だ、信憑性は高いな」
エーリッヒが“勘弁して欲しいよ”と言って溜息を吐いた。
「ナイトハルト、ローエングラム伯は如何なんだ?」
俺が問うとナイトハルトが顔を顰めた。
「控えめに言っても最悪だ。カストロプの一件で伯はエーリッヒに恥をかかされたと不満を漏らしているよ。軍務尚書に副司令長官としての自覚が足りないと叱責された事が周囲に広まったからな。特に十年後はエーリッヒが副司令長官になるという噂にピリピリしている」
エーリッヒがまた溜息を吐いた。
「ローエングラム伯がカストロプ討伐を願い出るなんて思わなかった。貴族の反乱なんだ、いきなり正規艦隊を動かすなんて有り得ないだろう」
「しかしアルテミスの首飾りが有った。願い出ても可笑しくは無いんじゃないか」
俺が問い掛けるとエーリッヒが首を振った。
「カストロプ討伐を願い出るのは討伐隊が失敗してからで良かったんだ。それなら軍務尚書も反対は出来なかった筈だ。アルテミスの首飾りの情報も入ってくる。攻略法を検討してから願い出ても遅くは無いんだ。攻略出来れば正規艦隊の精強さを皆に示す事が出来ただろう」
実際には討伐隊は鎮圧に成功した。だがローエングラム伯が討伐を願い出なければ軍務尚書に叱責もされず評価を下げる事も無かったという事か……。
「かなり焦っている。悪い方へと進んでいるよ。若いんだから焦る事は無いんだが……」
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