第五十二話 ドゥカーバンクの戦い・前編
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ルギカ号に体当たりをかまそうとした4匹の海獣達は、邪魔されたのを怒ったのかマクシミリアンに狙いを定め進路を変えた。
(好都合だ!)
杖を振るいスペルを唱える。秘薬のお陰で海中での呼吸や詠唱も可能だった。
『ウォーター・ジェット!』
『ウォーター・ジェット』は『エア・ジェット』の応用で足裏から水を噴射することで、高速で水中を進むことが出来る魔法だ。
(着いて来い!)
マクシミリアンは、なるべくベルギカ号から引き離そうと逆の方向へ進んだ。
(それにしても、あれが海獣か)
マクシミリアンを追う怪獣を観察すると、地球で言う『イッカク』の様な外見で、3メイル程の巨大な角を一本生やし、身体の部分は2メイル程と角よりも小さい。だが海中でのスピードは時速80リーグとかなりの高速で、海の槍騎兵と呼ぶに相応しかった。
(イッカクのようでイッカクではない。これはもうイッカクモドキだな、うん、決めた)
海獣達はイッカクモドキと名づけられた。
その間にも、マクシミリアンを猛追する4匹のイッカクモドキとも差は、徐々に縮まっていた。
(流石に、向こうの方に分があるか)
ジリジリと差を縮めるイッカクモドキに、マクシミリアンは次第に焦りの色が出始めた。
(一度に二つの魔法を使うことが出来ないから、敵に攻撃魔法をかけるには、ウォーター・ジェットを止めなければならない。だが、そんな事をすればたちまち、あの角の串刺しだ)
術者から独立して行動する『ウォーター・ボール』はその性質上、水中では運用できない為、今のマクシミリアンに出来る事は逃げて時間を稼ぐ事だけだった。
(最後の頼みは『目から破壊光線』か……水中で使ったことが無いから、ぶっつけ本番は怖くて出来ないし連発も不可能だ)
その間もマクシミリアンとイッカクモドキとの差は縮まるばかりだ。
まるで刺客の様に、逃げるマクシミリアンを追い詰める。
その時、ふと明暗が閃いた。
(これなら……!)
マクシミリアンは、猛追するイッカクモドキの目を見る。そして、マクシミリアンの両眼が光った!
カッ!
『グワワワッ!』
一匹のイッカクモドキが、悲鳴を上げて追撃から脱落した。
(いけるぞ!)
マクシミリアンの名案とは、『目から破壊光線』の応用、『目からサーチライト』をイッカクモドキの目に直接、叩き込むことだった。
いくら攻撃力が無くても、一瞬の隙は作れる。マクシミリアンは残りのイッカクモドキの目にも『目からサーチライト』を叩き込んだ。
残りのイッカクモドキも、次々と追撃から脱落していき、中には勢い余って他のイッカクモドキに突き刺さったものまでいた。
(よし、反撃だ!)
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