第五十二話 ドゥカーバンクの戦い・前編
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内に映し出された。
魔法は魚群探知機の役割も持っていた。
「……」
「……」
その後も、魔法で探索を続けるマクシミリアンにアニエスは、後ろに控え続けていた。
「あの……殿下」
「……ん?」
「寒くないですか?」
水着姿で数時間いた為、アニエスはマクシミリアンを労わった。
「寒くはあるけど、我慢出来ないほどではないよ」
「それじゃあ……」
アニエスは、近代的な軍服の上着を脱いでマクシミリアンの肩に着せた。アニエスは軍服に下に白い綿製のTシャツに似たインナーを着ていた。
「ありがとう、アニエス」
「いえ……」
アニエスの残り香が残った上着を着て、釣り糸を垂らし続けると、ソナーは高速でこちらに殺到する無数の反応を察知した。
「これは……敵だ! 海獣だ!!」
「えっ!?」
突然、大声を上げたマクシミリアンに、アニエスは驚きの声を上げた。
「敵だ! 艦長に急速浮上を要請! 急げ!」
「りょ、了解!」
マクシミリアンがアニエスにせっつくと、彼女は艦長の元へと走っていった。
「間に合わないかもしれない」
ベルギカ号の浮上と、魚雷の様な敵の突撃のスピードとを計算し間に合わないと判断した。
「ウォーター・ボール! 海面から飛び出した敵を狙い打て!」
ウォーター・ボール達に命令したマクシミリアンは、アニエスの上着を甲板に置くと秘薬の入った瓶を呷った。
この秘薬は、口の中に含み続ければ絶えず酸素を放出し続ける秘薬で、海中でも呼吸が可能だった。
「殿下!」
士官の一人が、マクシミリアンに駆け寄ってきた。
「敵が来る。さっき艦長に使いは出したが、大至急浮上してくれ」
「あ、殿下、お待ちを!」
仕官の制止を無視する形で、マクシミリアンは海に飛び込んだ。
☆ ☆ ☆
マクシミリアンが海中に入ると、海獣達はベルギカ号まで数百メイルの距離まで接近していた。
「こっちだ!」
マクシミリアンは杖を振るい、スペルを唱えた。
『アイシクル・トーピード!』
氷で出来た『トーピード』、すなわち氷の魚雷が10匹の海獣へ向けて発射された。
アイシクル・トーピードは、水魔法の『ジャベリン』の応用で、1メイル程の氷の槍を生成し石突きの部分から水を放出する事で前進する水中専用の魔法だ。
しかも、追尾性能もあり、6つの氷の槍は10匹の海獣の内、6匹に全弾命中した。
命中と言っても爆発するわけでもなく、氷の槍は深々と海獣に突き刺さり10匹中6匹が脱落した。
ベ
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