第五十二話 ドゥカーバンクの戦い・前編
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のヒューゴが、蚊帳の外のアニエスに手招いて席に座るように促した。
「りょ、了解」
アニエスは、そそくさと空いた席に滑り込んだ。
☆ ☆ ☆
ベルギカ号は遂に海獣の領域とされる海域に到達した。
水兵たちは、マストに登ったり海面を凝視したりと、海上及び海中の敵の襲撃を警戒していた。
一方、マクシミリンはというと……
「いっちに〜さんしっ、に〜にっさんしっ」
水着に着替え、艦尾で準備体操をしていた。
そこに、アニエスを含めたコマンド隊の4人が現れた。
「諸君、お疲れ様」
「殿下、我々は既に問題の海域に入っています」
「分かった」
マクシミリアンは、杖を取り出した。
『ウォーター・ビット!』
マクシミリアンの唱えた『ウォーター・ビット』は、かつての8基から大幅に増え32基がマクシミリアンの周りを展開していた。
「ベルギカ号の周辺を警戒せよ」
マクシミリアンの命令で、32基のウォーター・ビットが周辺の空域へ散って行った。
「これでよし、コマンド隊はすぐにでも浮上できるように、準備はしておいてくれ」
「了解です。アニエス、お前は殿下に着いていろ。我々は周囲の警戒をしてくる」
「了解」
他の隊員は去り、アニエスとマクシミリアンだけになった。
と言っても色気のある会話など無い。
「とりあえず、アニエスは見物していてくれ」
「……分かりました」
アニエスも、色気のある会話を期待していたわけではないが、当てが外れ少し気が沈んだ。
アニエスの変化に気づかないマクシミリアンは、おもむろに釣竿を取り出した。
「それは……?」
「海中の敵を探知する、魔法の釣竿だ」
釣り針の変わりに丸い石のような物がぶら下がっていた。
『イル・ウォータル……』
スペルを詠唱すると、釣竿を操作して丸い石を海中へ落とした。
「……」
目を瞑って釣竿を垂らす姿は、何処かの釣り人のようだった。
「あの……」
「ごめん、ちょっと静かにしていてくれ」
「……あ、ごめんなさい」
沈黙に耐えられなくなったアニエスは、マクシミリアンに話しかけたが怒られてしまった。
マクシミリアンの魔法は、『ディテクトマジック』を応用して一種のソナーを模した魔法で、これで海中の敵を探すつもりだった。
「……」
ソナーで得られた情報は、マクシミリアンの脳内で映像化されていた。
(すごいな、魚で一杯だ)
数十万数百万もの魚が遊泳している姿がマクシミリアンの脳
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