第五十二話 ドゥカーバンクの戦い・前編
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おう。新大陸探索の行きがけの駄賃として、この海獣問題を何とかしようと思う」
マクシミリアンの言葉に会議室はザワついた。
「海獣が餌場とする海域は、逆に言えば豊富な漁場としてトリステイン財政と国民の胃袋を支えることになるだろう」
「海獣退治をなさろうと言うのですか? 具体的にはどの様に……」
ド・ローテルはおずおずとマクシミリアンに聞いた。
「僕に考えがある。海獣を見つけたらベルギカ号は空に退避していてくれ」
「お待ちください! 殿下御一人で海獣に立ち向おうと仰るのですか?」
「無論だ」
「どうか、考え直して下さい。殿下に、もしもの事があれば、我々は国王陛下に顔向けできません」
士官達は懇願するように、マクシミリアンを説得するが効果は見られない。
「大丈夫だ。僕に任せて欲しい」
「殿下の実力は、知らぬ者は居ません。ですが……」
「では聞くが、どうやって海獣を退ける? ベルギカ号のロケット砲で海獣を倒すことが出来るか怪しいし、ロケット弾の補給はトリステインに戻らなくては不可能ではないか? 言っておくが、僕は火薬の錬金は出来ない」
「ロケット弾は、時間は掛かりますが、我々が何とかして見せます。ですから、どうか無謀な事は……」
ド・ローテルは何とか食い下がろうとするが、マクシミリアンの心は動かせない。
「海獣問題を解決しなければ、フネが自由に航行できないじゃないか」
「それは、時間を掛けて解決すればよろしいかと」
「クドイなぁ……」
話し合いは傾向線をたどろうとしていた時、幸か不幸かアニエスが入室してきた。
「あ、失礼します」
「……」
「……」
アニエスの登場は、話に水を指す形になった。
「そういう訳だから、ベルギカ号浮上の後は任せた」
「あ、殿下!」
マクシミリアンは、席を立ち会議室を出て行く際に、アニエスとすれ違った。
「助かったよアニエス」
「あ……」
僅か、それだけのやり取りだったが、アニエスの胸を大いに高鳴った。
逃げ去る形でマクシミリアンは出て行き、艦長以下、士官達は重苦しい雰囲気に包まれていた。
「とりあえずは……浮上後の防衛体制の確認をしておこう」
「……了解です」
結局、マクシミリアンの提言どおりに進め、ベルギカ号クルーは最低限サポートすることになった。
「場合によっては、殿下のお叱りを覚悟に介入もしよう。介入についてだが、コマンド隊に任せたいのだが」
「我ら、コマンド隊にお任せあれ」
コマンド隊の派遣部隊隊長の、デヴィットという男が敬礼をして答えた。
「おい、アニエス、突っ立ってないで早く座れ」
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