第五十二話 ドゥカーバンクの戦い・前編
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て家を失い、再起の為にこのベルギカ号に乗り込んできた経緯があった。
もし、粛清も無く、悠々自適に貴族生活を過ごしていたら、適当に結婚して学校の教師にでも納まっていたことだろう。
アニエスは、気さくに話せるシュヴルーズに気を許していた。
一方のエレオノールはというと……
「それにしても、召使いが居ないから、自分で着付けをしなくちゃいけないなんて不便だわ」
と、不機嫌そうにベッドに腰を掛け、櫛で自分の長い髪をすいていた。
ベルギカ号に乗っているのは女性はこの三人だけだった。
(この人は苦手だ)
一昔前の貴族を、そのまま体現したようなエレオノールに、アニエスはシュヴルーズとは逆に苦手意識を持った。貴族嫌いの虫が騒いでケンカにならなかったのは成長の証しか。
「そういえば、ミス・ミラン」
「え、あ、はい?」
エレオノールの声にアニエスは一瞬、身をたじろいだ。心の中を読まれたかと思ったからだ。
「コマンド隊は、会議室に集まるように通達があったわ」
「あ、ありがとうございます。すぐに向かいます」
アニエスは銃を木製のケースにしまうと、逃げるように部屋を出て行った。
「……変な子ね」
エレオノールは首を傾げた。
「緊張しているのよ。ミス・ヴァリエールは、語気が強すぎて相手を怖がらせてしまうのよ。もうちょっと、おっとり喋ればきっといい人にもめぐり合えるわ」
エレオノールとシュヴルーズは、歳は10歳ぐらいしか違わないが、人生の先輩としてシュヴルーズはエレオノールにアドバイスをした。
「前慮はします」
面と向かって言われるのか気に入らないのか、エレオノールは不機嫌になった。
☆ ☆ ☆
ベルギカ号内にある会議室では、マクシミリアンの他、艦長のド・ローテルにアニエス以外のコマンド隊隊員にベルギカ号の士官達が集まっていた。
「殿下。このまま、海を進み続けば海獣に襲われる危険がございます。浮上を提案いたします」
士官の一人が、マクシミリアンに提案した。
「トリステインの北西の海域は、海獣の餌場なのか、度々海獣が目撃されていて、我が艦も襲われたことがございます」
ド・ローテルが付け加えた。
「その時の被害は?」
「浮上する事で、海獣の攻撃を避ける事がが出来ました。被害はございません」
「それは良かった」
ド・ローテルの答えにマクシミリアンは安心したように頷いた。
海獣は基本的に海上を進む物しか襲わず、フネの様に空を進むを物は襲わなかった。
「……さて、僕の考えを言
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