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Episode.「あなたの心を盗みに参ります」
本編
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「こ、これって……!」

 誕生日にパーティーを催すような家庭にいるが、私は普通の高校に通う高校生でもある。
 学校のお昼休み中、親友のスミレに昨日のカードを見せると、彼女はさっと顔色を変えた。

「これっ……怪盗キッドの予告状じゃない!」
「え、スミレ知ってるの?」
「当たり前でしょ!」

 スミレはそう言って勢いよく立ち上がると、私の腕をぐいっと掴んで引っ張った。

「今すぐご両親に電話するわよ!私警察呼んであげるから!」
「えっ、いや待って待って。なに言ってんのスミレ……」
「なに言ってんのはこっちのセリフよ!」

 引き気味の私に、スミレはそう言ってずいっと顔を近づけてきた。

「怪盗キッドって言ったら、今世間でめちゃくちゃ騒がれてる大泥棒よ!?」
「えっ……そうなの?」
「神出鬼没で大胆不敵、いつも月明かりの下に白い衣装で現れる……その姿から、月下の奇術師とも呼ばれているわ」
「へえー……詳しいね?」
「一般常識だから!」

 とりあえず、有名ですごい怪盗っていう認識でいい気がする。
 依然として取り乱さない私に、スミレはますます声を荒らげた。

「あんたわかってる!?怪盗キッドは狙った獲物は逃がさないの!本当に心とられちゃうかもしれないよ!?」
「いやいや……いくらなんでも心なんかとられないでしょ」

 私の返答に、スミレはガクッと頭を垂れて、呻き声をあげた。
 心配してくれているのはわかる。だけど、私にはそんなに大袈裟なものだとは思えなかった。第一、そんな大泥棒の本物の予告状にしては、ふざけすぎている気がする。

「でも、怪盗キッドって宝石しかとらないんじゃなかったっけ?」

 ここまでの私とスミレの話を黙って聞いていたヤヨイは、首を傾げてそう呟いた。
 ヤヨイは、スミレとは打って変わっていつも冷静で、すごく上品な女の子だ。
 ヤヨイの言葉に、スミレは顔を上げて、私の持っていた予告状をもう一度見た。

「たしかに!ってことは……これ偽物?」

 私もその意見に賛成だ。誰かのいたずらだと考えるのが妥当だと思う。

「でも、一応警察に連絡した方がいいよ。もし本物だったら、ツグミが危ないかもしれないし……」

 ヤヨイはそう言って、心配そうに私を見つめた。
 確かに、放っておくのはよくないかもしれない。みんなが心配してくれているのに、なにもしないわけにはいかない。

「うん、そうだね。とりあえずお母さんに電話してみる」

 その後、私はすぐにお母さんに電話をして、予告状らしきカードのことを簡単に説明した。すると意外なことに、お母さんは急いでお父さんと連絡を取り、今日は真っ直ぐ帰ってくるように私に言いつけた。私の呑気な考えとは裏腹に、トントンと準備は進めら
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