第五十一話 王子の旅立ち
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マクシミリアンは学術団も伴って、ベルギカ号は乗船した。
軍艦であるベルギカ号には、最低限の空き室しかなく、十名近い学術団はいくつかの狭い部屋にギュウギュウ詰めに押し込まれる事になったが、その辺はマクシミリアンがフォローする事にした。
……
「それにしても……」
学術団を伴って歩いている時、マクシミリアンは周りに聞こえないように呟いた。
(なんで、ミス・エレオノールが居るんだ?)
学術団の中にカトレアの姉、そしてマクシミリアンにとっても義姉のエレオノールが居た。
本人は、マクシミリアンの目に付かないように陰に居た積もりなのだろうが、その美貌は隠せなかった。
(オレへの当て付けか? と、言うよりラ・ヴァリエール家はこの事を把握しているのか?)
マクシミリアンはカトレアから、エレオノールが過去三回、婚約を解消したと聞いていた。それも全て粛清の煽りを受けての婚約解消だった。
婚約相手の家が、ことごとく取り潰され魔法学院を卒業しても嫁の貰い手が無く、屋敷で悶々とした生活を送っていた。地球風に言えばニートである。だからこそ、一瞬、当て付けと考えてしまった。
(ミス・エレオノールには悪い事をした……ひょっとしたら、僕の事を恨んでいるかも)
だからと言って、粛清を悔いる積もりはマクシミリアンには無かった。
学者達を連れたマクシミリアン一行は、カツカツと音を立てて廊下を歩き、学者達とド・ローテルを会わす為に艦長室へと目指した。
「ずいぶんと狭い廊下だな」
「……それに無骨な内装だな」
「軍艦だから仕方ないだろう」
学者達は、物珍しそうに廊下などあちこちを見ていた。
彼らの知的好奇心は旺盛である。
「さ、艦長室に着いた。僕を下がるが長い航海だ、お互い仲良くやっていこう」
「恐縮で御座います。殿下」
リーダー格の学者が頭を下げた。
マクシミリアンは、自室へ戻るべく足を進め、エレオノールとすれ違った。
すれ違いざま、目と目が合わさったマクシミリアンとエレオノール。
マクシミリアンはエレオノールにウィンクすると、エレオノールは恥ずかしそうに目を逸らした。
(今の反応だと、恨んでは居なさそうだ。ちょっと安心)
☆ ☆ ☆
出航が明日へと近づき、人夫が忙しそうにベルギカ号へ物資を積み込んでいた。
その様子を、マクシミリアンとド・ローテルは甲板で見ていた。
「物資の積み込みは今日中に終わる予定です」
「それは良かった。ちなみにどれ程、積み込んだのかな?」
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