第五十一話 王子の旅立ち
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ば、大抵の病気は寄って来ないからね」
「航海中は食事ぐらいしか、娯楽がありませんので、乗組員達には気晴らしになるでしょう」
「水に関してだが心配は無いよ。海水に魔法をかけて塩分を抜き取れば、飲料水としても使える」
「それでしたら、航海中の水の心配は要りませんね」
マクシミリアンは舌の根の乾かないうちに、魔法に頼ってしまうだったが、
『魔法無しでは、この旅を成功させるのは不可能』
とも思っていた。
「様はバランスなのだ」
「? 殿下、なにか仰いましたでしょうか?」
「なんでもない。所で冷凍室は作った?」
「言いつけ通りに作っておきました。先ほども言いましたが、この旅は実験的な要素も含まれますので、缶詰等の保存食で航海を進めますので、冷凍室は、精々釣った魚を保存するぐらいにしか使われないかと。あ、後はソーセージなど吊るしておきましょうか」
ちなみ、冷凍室は魔法で部屋一面に氷を張らせ冷凍保存する仕組みになっていた。
「なるほど、分かった。ありがとう艦長、仕事に戻ってくれ」
「御意」
「……本当に魔法は便利すぎる。科学技術が魔法と肩を並べるには、まだ時間が掛かりそうだ」
そう言ってマクシミリアンは艦長室を出た。
☆ ☆ ☆
先の内乱以降、大多数のトリステイン貴族が粛清された、過半数の反乱貴族は、戦死するか処刑されたりしたが、中には命は助かったものの『家名』と『領地』を失った元貴族が多く出た。
今だ文字の読めない平民が大多数のトリステインにでは、依然、知識階級の元貴族を遊ばせておく余裕も無く、元貴族達には再就職先を斡旋してやった。もちろん、監視付きだが。
そんな元貴族の中には、領地と階級を失ったことで、領地経営や他の貴族に見得を張る事から解放された事で、空いた時間を趣味に専念し大成した者も居た。
出航三日前、元貴族で現在は学者の団体が、ベルギカ号に乗り込んできた。アトラス計画参加の為である。
「諸君、よく来てくれた」
タラップの前で、マクシミリアンが学者達を出迎えた。
「王太子殿下、御自ら出迎えて頂けるとは光栄の至りです」
元貴族の動物学者に植物学者、地理、地質、等々……各種様々な学者達が一斉に頭を下げた。
「この旅の為に、編成されたこの学術団の意義はとても大きい。その知識を大いに役立てて欲しい」
「御意。王太子殿下のご期待に沿えるよう、一掃努力いたします」
「詳しい部屋割りは、艦長に聞いて欲しい。案内するよ」
「殿下にご足労をお掛けするとは光栄の至り」
「気にするな」
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