第六十六話 婚姻と元服その六
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「吉法師殿もです」
「織田家の嫡男殿もでおじゃるか」
「時として使われるでしょうし」
彼もというのだ。
「美濃の斎藤殿や大和の松永殿、備前の宇喜多殿も」
「天下の悪人と言われているでおじゃるな」
「三人共。この方々も剣呑ですが」
「毛利殿はでおじゃるな」
「負けておられぬかと」
これが竹千代の見立てであった。
「まさに」
「城兵の者達を降ると騙して皆殺しにするなぞ」
「それも千人以上も」
「この様なこと本朝であったでおじゃるか」
「鎌倉殿も六代様も」
源頼朝、足利義教といった者達もというのだ。
「流石に」
「そこまではでおじゃるな」
「鎌倉殿のされたことも」
「実に惨いでおじゃるな」
「戦国の世でもあの様なことはそうはです」
「してはならぬでおじゃるな」
「はい、そして六代様はさらにです」
今も尚その惨さを言われているこの将軍もというのだ、竹千代は歴史を学んでそれで言っていて氏真も知っている。だからこそ竹千代の話を聞いているのだ。
「惨い方でした」
「何故あそこまで惨いことを続けたか」
「わかりません、ですが」
「その惨さ故におじゃる」
「あの様になりました」
自分が殺されると危惧した赤松満祐に殺されている、これを嘉吉の変という。
「何かというと人を厳しく罰していては」
「公方様といえどでおじゃる」
「してはなりませぬし」
「ああなるでおじゃるな」
「はい」
まさにというのだ。
「あの方の様に」
「毛利殿は六代様の様な所業はしない様でおじゃるが」
「しかしです」
「謀が過ぎるでおじゃるな」
「あまりにも。流した血もです」
敵の城兵達を皆殺しにしたりしてだ。
「多く」
「油断ならぬ御仁でおじゃるな」
「若しあの家と何かあれば」
その時のこともだ、竹千代は話した。
「お気をつけを」
「承知したでおじゃる」
氏真も確かな顔で頷いた。
「あの御仁の謀にはでおじゃるな」
「くれぐれも」
「承知したでおじゃる」
「その様に、もっとも当家と毛利家が何かあるのは」
「上洛してでおじゃるな」
「それからのことで」
「まだ先でおじゃるな」
氏真が見てもだった。
「左様でおしゃるな」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「今は安心していいです」
「この駿河から安芸は遠いでおじゃる」
「左様ですから」
「遠いというのは有り難いでおじゃるな」
「手強い相手とは」
「その通りでおじゃる」
「はい、しかし」
ここで竹千代はこうも話した。
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