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戦国異伝供書
第六十六話 婚姻と元服その三

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「武田家、北条家にも負けないでおじゃる」
「武田家はそれがしの見たところ」
 どうかとだ、竹千代は彦五郎に話した。
「信濃をです」
「完全に手に入れるでおじゃるな」
「そしてそこからもです」
「さらにでおじゃるな」
「勢力を拡大されるので」
 そうなることは間違いないからだというのだ。
「盟約は強くすべきで」
「今まで以上にでおじゃるな」
「はい、そして北条家も」
 この家もというのだ。
「関東全土を掌握されることも」
「出来るでおじゃるな」
「既に河越で山内、扇谷の上杉家を破っております」
 北条家の宿敵であった彼等をというのだ。
「まだ佐竹家や宇都宮家がありますが」
「関東八家も敵ではないでおじゃるな」
「どうやら」
「左様でおじゃるな」
「ですから」 
「関東をでおじゃるな」
「掌握されると思われるので」
「この家ともでおじゃるな」
「やはり盟約も」
 北条家のそれもというのだ。
「こちらにしましても」
「これまで以上にでおじゃるな」
「深くすべきですが」
 それに加えというのだ。
「やはり当家自身もです」
「兵をでおじゃるな」
「多くすべきです」
「四万もあれば」
「今は二万五千ですが」
 その兵の数をというのだ。
「それをです」
「四万にし」
「そしてです」
「守るべきでおじゃるな」
「それがよいかと、そして天下も」
「上洛してでおじゃるな」
「目指されてもです」
 義元がそうしている様にというのだ。
「その時もやはり駿河、遠江、三河が大事になりますので」
「豊かにしておくべきでおじゃるな」
「はい」
 その通りという返事だった。
「そうなります」
「ではでおじゃるな」
「彦五郎様のお考えの通りです」
 それは正しいというのだ。
「まことに」
「それでは」
「政には是非励まれて下さい」
「そしてそのうえで、でおじゃるな」
「当家が上洛しましても」
 その時でもというのだ。
「確かな力を持てる様に」
「するでおじゃる」
「その様に」
「やはり政でおじゃるな」
「そこからですので」
「ではまずはそちらに励むでおじゃる」
 こう言ってだ、彦五郎は己のすべきことを考え決めだしていた、だがここで彼は義元に言われていた。
「そなたどうもでおじゃる」
「兵法のことはですか」
「今一つでおじゃるな」
 どうもと言うのだった、父である彼も。
「剣術はいいでおじゃるが」
「それでもですか」
「そうでおじゃる」
 こと兵法はというのだ。
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