第六十六話 婚姻と元服その一
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第六十六話 婚姻と元服
関口は竹千代を己の屋敷に招き破顔して話した。
「いや、松平殿程の方を婿に迎えることが出来るとは」
「そのことがですか」
「何と有り難いことか」
こう言うのだった。
「思うこと至極でありまする」
「それを言われますと」
竹千代は自分と対して笑う関口に謙遜して応えた。
「それがしこそ」
「有り難いとですか」
「そう思うこと至極です」
こう言葉を返すのだった。
「まさに」
「左様ですか」
「関口殿程の方のご息女を妻になぞ」
「殿のご好意によって」
「そうして頂けるとは」
「殿はそれがしに言われました」
関口は義元のことも話した。
「松平殿はやがて今川家の執権となられる方で」
「そこまでだからですか」
「是非です、それがしの娘を」
「拙者の妻にし」
「支えて欲しいと」
「殿はそう言われたのですか」
「それがしに」
まさにというのだ。
「そう言われまして」
「それで、ですか」
「この度のこととなりました」
「左様ですか」
「そしてそれがしの娘築山ですが」
「はい、この度は」
「この屋敷におりますので」
それでというのだ。
「お会いになって頂けますか」
「それでは」
その為に来たがそのことはあえて言わずだった、竹千代は関口のその気品のある顔を見つつ頷いた、そうしてだった。
部屋に案内された娘を見た、自分より一つか二つ下位の気品のある非常に整った顔立ちの少女だった。長い黒髪は絹の様で肌は雪の様だ。
その女が竹千代の前に出て深々と頭を下げて名乗った。
「築山と申します」
「松平竹千代という」
竹千代はその少女築山に名乗った。
「以後宜しく頼む」
「こちらこそ」
「式の日はもう決まっておりまする」
ここでまた関口が言ってきた。
「ですから」
「これからはですな」
「その日に向けて」
まさにというのだ。
「用意をしていきましょう」
「それでは」
「そのことはそれがしが進めますので」
関口は竹千代に微笑み述べた。
「松平殿はご覧になって頂きたい」
「式の用意について」
「そして式自体も」
「それも、ですな」
「経験であり後に生きて来ますので」
だからだというのだ。
「是非」
「それでは」
竹千代は関口の言葉に頷いた、こうしてだった。
式のことが進むことになった、ここで彦五郎が竹千代に笑って話した。
「麿も決まったでおじゃるよ」
「北条家からでしたな」
「左様、正室を迎えることが」
このことがというのだ。
「決まったでおじゃる」
「おめでとうございます」
「前々からそうしたことになっていたでおじゃるが」
「正式には」
「この前決まったでおじゃ
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