第四幕その十二
[8]前話 [2]次話
「藤村さんのお父さんは頑張ったけれど」
「激動の時代の中で」
「それでも駄目で」
「それでなんだ」
「この人は最後は発狂してね」
そうなってしまってというのです。
「座敷牢の中に入れられたんだ」
「ああ、お家の中にあった」
「日本の大きな家であったのよね」
「時代劇とかでたまに出て来るね」
「お屋敷の地下に秘かにあって」
「そこから出られない」
「そうした場所だったね」
皆でお話するのでした。
「そこに入れられていたんだ」
「藤村さんのお父さんは」
「何かとても残念な結末だったみたいだけれど」
「おかしくなってそれって」
「どうもね」
「うん、藤村さんは色々あったっていうけれど」
先生はあらためてこのことについて述べました。
「これがね」
「そういうことだったんだ」
「藤村さんのお父さんのことだったんだ」
「おかしくなって座敷牢に入れられた」
「そんな人だったんだ」
「そうなんだ、ただね」
先生は皆にさらにお話します。
「藤村さんはそれだけじゃなかったから」
「まだあるんだね」
「お父さんのことだけじゃなくて」
「他にも色々あったんだ」
「さっきそんなお話したけれど」
「お父さんのことでもかなりなのに」
「そうだったからね」
先生は苦いお顔で言うのでした。
「あまり多くのことを言うことはね」
「憚れるんだね」
「僕達にお話することは」
「そのことについては」
「そうなんだ、話しにくいことばかりで」
藤村さんのことはというのです。
「悪いけれどね」
「うん、わかったよ」
「じゃあそういうことでね」
「僕達もそれでいいよ」
「先生がお話しにくいなら」
「それならね」
「そういうことでね」
先生はこう言って本当に多くをお話しませんでした、そして駅に行ってそこから松本市に戻るのでした。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ