暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン ーBind Heartー
オワリトハジマリ
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ーー……出やがったな、クソ野郎っ?
俺の中の何かが暴れ出す。荒くなる息遣いを隠し、早まる鼓動を抑えようと胸に手をやる。しかし、この世界では呼吸は必要とされないし、心音が他人に聞かれるわけでもない。
だが、そうでもしなければ、俺は怒りに任せてあの巨人ーー茅場晶彦に飛びかかってしまいそうだったのだ。
その後も茅場はプレイヤー達に何かを伝えていたが、俺の耳には入らなかった。茅場に対して湧き上がる悪罵の言葉が、俺の脳内を埋めていた。
それに、俺には奴が何を伝えているのか検討がついていた。
そう。俺は知っている。『これは、ゲームであっても遊びではない』。その事実を。
ああ、そうだ。俺は全部知っている。
ーーゲームをクリアしない限り、ログアウトは出来ない。
ーーHP(ヒットポイント)がゼロになればアバターは消滅し、ナーヴギアが放つ高出力マイクロウェーブが、そのプレイヤーの生身の脳を破壊する。
ーー現実で他者がプレイヤーの装着しているナーヴギアを外す、または破壊、十分間の外部電源切断、二時間のネットワーク回線切断などの行為に及べば、同じように脳内破壊シークエンスが実行される。
ーーそして、ゲームクリアの条件は、巨大な浮遊城≪アインクラッド≫の階層、百層全てにいるボスを倒し攻略する以外にない。
この≪ソードアート・オンライン≫は、本物のデスゲームなのだ。
『それでは、最後に、諸君にとってこの世界が唯一の現実であるという証拠を見せよう。諸君のアイテムストレージに、私からのプレゼントが用意してある。確認してくれ給え』
やっと聞き取ったのは、茅場のそんなセリフだった。
こちらに背中を向けるあの黒髪の少女が右手を真下に向けて振るのを見て、俺も同じように右手を振る。電子音の鈴のようなサウンドエフェクトと共に出現したメインメニューから、アイテム欄のタブを叩くと、予想通り、表示された所持品リストの一番上にそれはあった。
アイテム名はーー≪手鏡≫。
その名前をタップし、浮き上がった小さな四角いウインドウからオブジェクト化のボタンを選択する。すると、きらきらという効果音と共に、小さな四角い鏡が出現した。
俺は知っている。なぜ、奴がこんな役に立ちそうにないアイテムを寄越して来たのかを。
俺はその鏡を手に取り、覗き込む。
そこに写っていたのは、適当に造り上げた無駄に優男風のアバターの顔だった。
不意に視線を外すと、あの黒髪の少女が不安気な表情で俺を見ていた。
俺に何か言って欲しいのか。この全てが運営側による趣味の悪いチュートリアルだと。絶対に大丈夫だと。
しかし、俺は全てが現実だということを知っている。それが、これから証明されることも。
彼女が何かを言いかけた瞬間、突然、その体が白い光に包み込まれた。次の瞬間には、俺の視界が
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