暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン ーBind Heartー
オワリトハジマリ
[3/5]
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
先ほど見たものとにた鮮やかな青白い光で、この世界の移動手段のひとつとされている、≪転移(テレポート)≫の光だ。
だが、転移してきたプレイヤーは皆困惑の表情を浮かべている。
そしてこの転移の数はどう見ても一万人近くのものに達する。考えられるのは、システム側からの強制転移だ。
ーー来やがった……!
仮想空間にあるはずのない心臓が、大きく脈打つのを感じる。
転移によって次々と現れてくるプレイヤーによって狭まっていく広場に何を感じたのか、近くにいたあの黒髪少女のプレイヤーが後ずさって、今度こそ俺とぶつかる。
反射的にその体を支えてやると、彼女はか細い声で「ありがとうございます……」と言った。
ほどなくして、全ての光の柱が消え、広場には色とりどりの装備、髪色、眉目秀麗な男女の群れが出来上がる。
「どうなってるの?」「これでログアウトできるのか?」「早くしてくれよ」などという声がそこかしこでおきはじめ、次第に苛立ちの色合いを増して喚き声となる。
何も知らない者にとって、この展開は確かに理解できないであろう。
ーーだが、俺は知っている。いま起こっているこの事態も、これから何が始まろうとしているのかも。おそらく全プレイヤー中で、俺だけが先んじてその真実を知っている。
いま全プレイヤーのメインメニューから、ログアウトボタンが消失していることまでも、だ。
「あっ……上を見ろ?」
不意に誰かがそう叫ぶ。皆がそれに従い、視線を空へ向けた。そして、そこで異様なもを見た。
百メートル上空、第二層の底を、真紅の市松模様が染め上げていく。
よくよく見れば、それは二つの英文が交互にパターン表示されたものだった。真っ赤なフォントには【Warning】そして【System Announcement】と綴られている。
直後、空を埋め尽くす真紅のパターンの中央部分が、まるで巨大な血液の雫のようにどろりと垂れ下がった。高い粘度を思わせるそれはその形状を変え、停止する。
出現したのは、身長二十メートルはあろうかという、真紅のフード付きローブをまとった巨大な人の姿だった。
しかし、そのフードの中には顔がないのだ。薄暗い闇だけの全くの空洞。顔だけでなく、だらりと下がる裾の中にも、肉体は見当たらない。
ーー来た、来た、来た……!
俺はそれが何なのか、直感的にわかっていた。いや。真実を知っているからこそ、わかることができる。
ローブの巨人が、純白の手袋の手を広げた。これも、中身のない空っぽの袖と手袋が明確に切り離されている。
それを確認した時、低く落ち着いた、よく通る男の声が、遥かな高みから降り注いだ。
『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ。私の名前は茅場晶彦(かやば あきひこ)。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ