暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン ーBind Heartー
オワリトハジマリ
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これは彼女(男性という可能性も多いにありえる)の現実の身体ではない。この≪ソードアート・オンライン≫ーーSAOのユーザーが、ゼロから作り上げたポリゴン構成の身体にすぎない。この鈴音のような声でさえボイスフェクターで変換が可能なのだから、本当のものかすら怪しい。
男性アバターの容姿も、いかにもファンタジー然としたような美男子を形どっていた。睨まれているというのに、下手をすれば女性だったらすぐについて行ってしまいそうな凛々しさがある。
どうやら、俺は彼にとってお邪魔虫な扱いのようだ。
そのことを知ってか知らずか、女性アバターは未だに俺をパーティに誘ってくる。おそらく、仮想空間とは言え、男を侍らせられるという魅力を持つ自分に酔っているのだろう。
その真意は図りかねるが、元からパーティを組む気などない俺は、黙って踵を返して歩き出す。
背後からソプラノ調の抗議の声が聞こえたが、すぐに男性アバターがその手を引いて移動したようだった。
それも無視して、俺は歩きながら再び街の景観に目をやる。
この中世風の≪はじまりの街≫は、全てのプレイヤーにとってゲームのスタート地点とされている。ログインしたてのプレイヤーは、必ずこの中央広場からこのゲームを始めるのだ。
その証拠に、歩いている目の前で誰かがログインして来た。
あと半歩進めばぶつかりそうな地点から、突如として青白い光の柱が出現したのだ。その輝きはすぐに薄れ、中から細身の人影が現れる。
「ーーわっ……ご、ごめんなさいっ」
驚いたようなそいつはすぐ目の前にいた俺に下げると、小走りでその距離を空ける。
これまた女性のアバターだったが、先ほどとは違いどこか地味なーー普通の女の子と言ったような姿をしていた。短めの黒髪と、幼い顔つき。体格もやや小柄だ。
相変わらず無反応な俺から目をはなした彼女は、その景色に目を丸くする。次第にその頬は朱色を帯びて行き、胸の前で小さな両手をぎゅっと握りしめていた。
きっとナーヴギアを使ったゲームは、これが初めてなのだろう。いかにも興奮しています、という風が目に見えてわかる。
SAOの正規ソフトは全国でも累計初回入荷数がわずか一万本。数ヶ月前には試験用であるベータ版もあったらしいが、そのテストプレイヤー、ベータテスターはたったの千人しか募集していなかったという。
ベータテスターには及ばないが、一万人いるはずの購入者のうち一人となっただけでもよほどの幸運だろう。
ーーーーそしてそれは、最悪な不幸でもある。
突然、リンゴーン、リンゴーンという、鐘のようなーーあるいは警報音のような大ボリュームのサウンドが鳴り響き、俺はその身を硬直させた。
直後、中央広場に無数の光の柱が出現し始める。それは
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