第二章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後
「デモや抗議でなくてね」
「そうですか」
「絶対に暴力は振るわない」
「言論弾圧もですか」
「しないよ、紳士として優雅に振舞って」
そのうえでというのだ。
「平和を主張する」
「それがサプールですか」
「そうなんだ、私はそのサプールのお話を聞いて素晴らしいと思って」
そうしてというのだ。
「こうしてね」
「ご自身で、ですか」
「そうだよ、やってみているんだ」
「そうですか、そんな平和の主張もあるんですね」
胡散臭い人達のデモや抗議だけでなくとだ、夏樹は目を丸くして頷いた。そしてだった。
その人からサプールについて聞いた。サプールの様な姿でいて街を歩くには平和でなければならない、そのことも聞いてだった。
彼は深く感動した、それでだった。
次の日からアルバイトをはじめユニクロであるがスーツとネクタイ、靴にボルサリーノで身を包みそうして街を歩きはじめた、すると暫くして同じ高校の友人は大阪の京橋でそうして歩く彼をたまたま見付けて眉を顰めさせて問うた。
「お前誰の真似だよ」
「真似じゃないんだよ、サプールだよ」
「サプール?コンゴのか?」
その友人はサプールを知っていてすぐにこう言った。
「あのか」
「そうだよ、難波で日本のサプールの人と会ってな」
「それでか」
「ああ、俺もって思ってな」
それでというのだ。
「ユニクロだけれどな」
「スーツとか買ってな」
「本当はブランドものだけれれどな」
「サプールの人達が着ている服はそうだな」
「その服を着てな」
そしてというのだ。
「俺もその人みたいにな」
「サプールになるんだな」
「そうして平和を訴えるぜ、平和でないとこんな格好出来ないからな」
サプールのそれはというのだ。
「だからな」
「それでか」
「ああ、こうしてな」
「その人みたいにか」
「平和を訴えるぜ、デモやってる連中みたいに胡散臭いんじゃない」
その実は平和なぞ全く考えていなさそうな好戦的な主張さえ常のデモをしている様な連中と違ってというのだ。
「お洒落に、着飾って紳士としてな」
「平和を言っていくんだな」
「そうしていくさ、これからは」
こう言ってだった、夏樹は自分もまたサプールとなって平和を主張する様になった。何をしているかと問われるといつもこう答えた。そしてだった。
彼は高校を卒業し大学に入りそこも卒業し就職してからもサプールとして大阪の街で平和を訴え続けた、そうして時々はじめてサプールを教えてくれたその人とも会ったが。
その人にお礼を言うとその人は笑って言うのだった。
「それは私じゃなくて最初にサプールをはじめた人達に言おうね」
「貴方ではなくて」
「そう、最初にこうした平和の訴え方を教えてくれた人達にね」
自分ではなくと
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ