第五章
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「一度もね」
「課長はそうですか」
「うん、お世辞にもお洒落ってイメージないし」
「まあそれはそうですね」
「食べものは確かに美味しいけれど」
「クリスマスのメニューじゃなくて」
「今姪がクリスマスは博多っていうことで来てるけれど」
それでもというのだ。
「ここでいいのかなってね」
「思われてますか」
「楽しんでいたらいいけれど」
どうかという顔での言葉だった。
「本当にね」
「まあその人が楽しんでいたら」
それならとだ、武かは金吾に答えた。
「それで」
「いいかな」
「福岡でも」
この地でのクリスマスでもというのだ。
「確かにハイカラとかお洒落ってイメージじゃないですね」
「どうしてもね」
「ここは、ですが」
「その人がどうかだね」
「楽しんでいたら」
それでというのだ。
「いいじゃないですか」
「それもそうか」
「はい、実は俺も」
部下は笑ってこんなことも言った、ふと周りを見回してそうしてそこにいるのは自分達だけだと確認して言った。
「今日は楽しみますよ」
「どうしてかな」
「ソープ行って」
これも福岡名物である。
「それで」
「風俗行くんだ」
「そうします」
「そうするんだね」
「今から楽しみですよ」
「そうなんだね」
「中州に予約取ってるんですよ」
もう既にだった。
「いやあ、楽しんできますよ」
「それならね」
「それから居酒屋行って」
今度はこちらだった。
「そこで焼き鳥と唐揚げとグリルで」
「鶏肉でだね」
「赤ワイン飲んでケーキも頼んで」
こうしたものも忘れていなかった。
「クリスマス満喫しますよ」
「じゃあね」
「はい、楽しんできます」
「君がいいなら」
金吾は言わなかった、そして。
仕事を終えて寄り道せずにまっすぐに家に帰るとだった、家の中は明らかに普段とは違っていた。それも全く。
クリスマスツリーがありイルミネーションも飾られていてだ、奇麗に光っていた。そしてクリスマスソングもかけられていて。
テーブルの上に七面鳥の丸焼きにケーキを中心として欧風のご馳走が幾つも置かれていた。勿論ワインもある。
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