第四章
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「七穂ちゃん中学生だから」
「だから七穂ちゃんは葡萄ジュースで」
用意するものはしっかりと用意していた。
「私達がよ」
「ワイン飲むんだ」
「ランブルスコね」
飲むワインはこれだった、イタリアの発泡性の甘い赤ワインだ。
「それよ」
「ランブルスコ?」
金吾は実はビール派でワインはあまり飲まない、太ってきたのはそのせいもあると自覚していて実は妻に最近そのワインや焼酎に切り替える様に言われている。そろそろ歳なので健康の問題があり特に痛風があるからだ。
「それって」
「だからワインよ、それ用意してるから」
「明日はなんだ」
「二人で飲みましょう」
「七穂ちゃんはジュースで」
「七面鳥のローストとケーキね」
この二つでというのだ。
「勿論お野菜も出すから」
「栄養バランスも考えてるんだ」
「そこはね」
この辺りもわかっているのが頼子だ。
「ちゃんと考えてるから」
「明日も」
「今日のお鍋もお野菜沢山入れてるわよ」
見ればその通りだった、葱や白菜、それに茸だが椎茸も多く入っている。
「七穂ちゃんにはうんと食べてもらうから」
「そうなんだ」
「それであなたもね」
金吾のことも忘れていなかった、こうしてだった。
金吾はこの日は水炊きを食べた、焼き鳥と唐揚げもだ。後の二つは水炊きがメインなのであまり多くなかったがそちらも食べた。むしろ金吾は妻に残さない様に言われて気合を入れて食べることになった。
そして翌朝金吾は妻と息子それに七穂と共にだった。
明太子をおかずにして朝ご飯を食べた、頼子はその彼の前で息子だけでなく七穂にもにこにことして声をかけていた。
「お昼はね」
「お外に出てですね」
「公康と三人でね」
金吾は仕事なのでいない。
「博多の街でね」
「クリスマスをですね」
「満喫しましょう、それで夜はね」
「七面鳥ですね」
「それにしましょう、お昼に食べるのは」
そちらの話もした。
「おうどんよ」
「おうどんですか」
「こっちはラーメンだけじゃないから」
実はうどんも有名でよく食べられるのだ。
「だからね」
「おうどんですか」
「それも食べましょう、あと明日は」
クリスマスが終わってからの話もした。
「もつ鍋食べましょう」
「もつ鍋もご馳走してくれるんですね」
「そうよ、もう心から楽しんでね」
夫のことはほぼそっちのけで息子と姪の相手をしていた、金吾はその三人の傍で大柄な身体だが存在感がなくだった。
食事を終えて出勤した、そして職場で働きつつ部下にこんなことを言った。
「福岡でもクリスマスやってるけど」
「はい、今日ですね」
「福岡でクリスマスって」
その福岡人として言うのだった。
「どうもね」
「ピンとこないですか」
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