第六章
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「ひょっとして」
「違うよ」
「熱ない?」
彼の額に手を当てると確かに熱かった。
「プールで泳いだせいかしら」
「違うから」
「そういえば元気ね」
「風邪じゃないから」
このことは絶対だと言うのだ。
「本当に気にしないでよ」
「じゃあ帰っても風邪薬必要ないわね」
「そんなのいらないから」
「だったらいいけれど」
「それで今日はこれで」
「お家に帰るわ」
美優は周大にすぐに答えた。
「これからね」
「そうなんだね」
「もう遅いから」
「遅いとだね」
「お母さん達が心配するからね」
真面目な姉らしい言葉だとだ、周大はその言葉を聞いて思った。
「だからね」
「そうだよね」
「じゃあこれでね」
「帰るんだね」
「そうしましょう」
「じゃあまたね」
「明日学校でね」
早紀と麻里佳は美優に微笑んで言ってきた。
「楽しく過ごそうね」
「そうしましょう」
「弟君もね」
麻里佳は彼にも挨拶をした。
「また一緒にね」
「お相手してね」
「は、はい」
周大は顔が赤くなったままだった、その顔でだった。
二人に挨拶をした、そうして今は別れて姉と共に家に帰ったが。
帰り道でだ、彼は隣にいる姉に言った。
「お姉ちゃん、いいかな」
「どうしたの?」
「またお二人と一緒に遊ぶよね」
「いつも一緒だからね」
三人でとだ、美優は弟に答えた。
「そうしてるわ」
「そうだよね、だったらね」
「だったら?」
「僕も呼んでくれるかな」
こう姉に頼んだ。
「そうしてくれるかな」
「ええ、いいわよ」
別にとだ、美優は弟に微笑んで答えた。
「そうするわね、今度も」
「そうしてね」
「また急に変わったわね」
弟の真意に気付かないでだ、美優は言った。
「あんなに嫌がっていたのに」
「気が変わったんだ」
「そうなの」
「うん、ただね」
周大は帰り道を歩きはじめると次第に顔の赤さを薄らげさせていた、だがここでまた顔を耳や手まで赤くさせてだった。
そしてだ、姉にこう言った。
「近寄ることはね」
「近寄るっていうと」
「それは止めてくれるかな」
「どういうこと?」
「ちょっとね」
「ちょっとじゃわからないわよ」
「わからないんだ、けれどね」
それでもとだ、彼は姉に話した。
「また一緒にね」
「わかったわ、それじゃあね」
美優は弟の言葉にわからないまま答えた、そうしてだった。
二人で家まで帰った、ここで周大は姉の胸を見た。しかし今は服を着ているので特に大きくは感じなかった。普通に見えた。
冬の刺激 完
2019・11・22
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