第七章
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「あれで憎めなくてな」
「人としての道は究極にはね」
「踏み外してないんだよ、何でもヒモになってる女の人にも」
これは昔そうだった人から直接聞いた話だ。
「優しいし家事もな」
「全部してくれるのね」
「そうみたいだしな」
「女遊びにギャンブルをしても」
「それでもな」
確かにロクデナシだけれどだ。
「憎めないしいいところもな」
「あるからね」
「俺達も見捨てないんだよ」
あいつの友達つまり悪友全員がだ。
「そうなってるんだよ」
「そういうことね」
「だからな、まだな」
「あの人はいいのね」
「そう思うさ、嫌いになれないんだよな」
どうしてもだ、俺は妹にそうしたことを話してだった。
今度は風呂に入ってすっきりした、そして後は寝る時間までゲームをして楽しんだ。今はあいつのことは忘れた。
この時から数年後俺も妹も他の友人連中も驚いた、何とあいつがだ。
借金を全部返してそのうえで何と仕事にも就いたのだ、仕事といってもネット小説を書いてそこでの広告収入や読者さんからのお金で生きているという仕事としては収入が不安定で家事がメインだったにしても。
美人でバリバリ働いている人と結婚した、しかも子供まで出来た。
「俺も落ち着かないとな」
「そう思ったのかよ」
「子供が出来てな」
「それで仕事に就いてか」
「一応な」
ネット小説で収入を得てというのだ。
「それで子育てもしてるさ」
「俺達に借金も返したしな」
「父親が借金持ちとか教育に悪いだろ」
「だからか」
「ああ、もうギャンブルに女遊びも止めるさ」
そうした悪い遊びもというのだ。
「馬鹿やるのは終わりさ」
「ちゃんとした父親になるんだな」
「俺なりにな」
こう俺に話した。
「そうなるさ」
「そうか、じゃあ頑張れよ」
「やるのは酒と煙草だけにするさ」
「煙草も子供の健康に悪いから止めろよ」
「そっちはベランダで吸ってるさ」
「ならいいっていうんだな」
「それ位はいいだろ」
俺にも他の友人達にもこう話した、そして実際にギャンブルも女遊びもしなくなっていい父親になった。借金大王は終わってマイホームパパになった奴がそこにはいた。
借金大王 完
2019・11・25
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