第二十五話 イゼルローン方面軍
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帝国暦487年 4月 16日 オーディン ブラウンシュバイク公爵邸 エルネスト・メックリンガー
「なかなか決まりませんな」
「確かに」
私とシュトライト少将の言葉にブラウンシュバイク公が無言で頷いた。公の表情は決して明るくない、不機嫌とは言わないが鬱屈している様な感じだ。体調が思わしくない所為も有るだろう。出来るだけ早めに終わらせるようにしなければ……。
私とシュトライト少将は軍服だがブラウンシュバイク公はパジャマの上にガウンを羽織っている。公は最初軍服を着ようとしたようだがシュトライト少将がそれを止めたらしい。“本当は休んで欲しいがどうしてもと言うならせめて身体に負担をかけないようにして欲しい”と頼んだそうだ。
口にも出したが宇宙艦隊の陣容がなかなか決まらない。直ぐに決まったのは総参謀長に私、副参謀長にシュトライト少将、そして司令部参謀にベルゲングリューン、ビューローくらいのものだ。前回の遠征に参加した人間をそのまま用いたに過ぎない。
当然だが十分とは言えない。軍務省人事部に優秀な若手士官を配属させてほしいと頼んでハックシュタイン准将、レーリンガー大佐、フェルデベルト大佐の三名が司令部に配属される事になった。
ハックシュタインとレーリンガーは士官学校を首席卒業だ。もっとも公は首を傾げていたから必ずしも納得はしていないのかもしれない。ちなみにフェルデベルト大佐は公と士官学校では同期生だ、それなりに思うところが有るのだろう……。
後方支援を担当する人間もようやく決まった。リッチェル准将、グスマン大佐、シュルツ少佐の三名だ。後は彼らの下に事務を担当する女性下士官を配備すれば後方支援はひとまずは安心できるだろう。女性下士官は兵站統括部から選抜されるはずだ。
クレメンツ、ルッツ、ワーレン、アイゼナッハ、ビッテンフェルト、シュムーデ、ルックナー、リンテレン、ルーディッゲ……。現時点で艦隊司令官として決まったのは九名だ。ようやく十八個艦隊の半分が決まったが残り半分をどうするか……。
「他に適任と言われて思いつくのはミューゼル大将とメルカッツ大将、グライフス大将ぐらいですが……」
「しかし、その内最低でも一人はイゼルローン要塞に行かざるを得ないでしょう。他に適任者がいません。先ずはそちらを決めないと……」
私とシュトライト少将の遣り取りにブラウンシュバイク公が溜息を一つ吐いて頷いた。
「そうですね、それにグライフス大将は総参謀長を務めた方です。いまさら艦隊司令官にと言うのは難しいでしょうね……」
今回の戦勝に伴い何人かの異動が行われることになった。その中でも最も大きいのがミュッケンベルガー元帥の退任とブラウンシュバイク公の宇宙艦隊司令長官への就任だがそれに次ぐのが帝国の最前線、イゼルロー
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