第二十五話 イゼルローン方面軍
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、そう思っているのだろう。実は私もそう思っている。
「難攻では有りますが不落では有りません。イゼルローン要塞を攻略することはそれほど難しい事では有りません」
まじまじと公を見た。落ち着いた表情をしている。冗談を言っているのだろうか、それとも真面目な話なのだろうか……。シュトライト少将に視線を向けたが少将は呆然としている、判断がつかないのだろう。
「ミューゼル大将もその辺りは理解しているでしょう。ハードウェアに頼っての反乱など考えているとは思えません。あまり心配はいらないでしょうね」
「はあ」
我々の反応が可笑しかったのだろうか、ブラウンシュバイク公が声を上げて笑い声を立てた。
「実を言うとイゼルローン方面軍の構想を軍務尚書、統帥本部総長に話した時、最初は反対されました」
公が私を見ている。悪戯をしているような表情だ。私の反応を楽しんでいるのだろう。結構人の悪いところが有る。
「これまでイゼルローン要塞の指揮系統の統一は何度か討議されたそうですが全て却下されてきました。表向きの理由は指揮権が分かれていても支障が無いという事でしたが、裏では司令官職が一つ減るのは困るという理由のためだと言われてきました」
「小官もそのように聞いていますが」
私の隣でシュトライト少将も頷いている。それを見て公が可笑しそうに言葉を続けた。
「本当は反乱を起こされると困るからですよ。しかし反乱が怖いから指揮系統の統一は出来ないとは言えませんからね……」
「それで指揮権が分かれていても支障が無い、司令官職が一つ減るのは困るなどと言う理由で却下していたのですか」
「そうです」
思わず溜息を吐いた。そしてそんな私を見て公がまた笑い声を上げた。
つまり今回組織改革が行われ指揮系統が統一されるという事は反乱を恐れる必要が無くなったという事か。反乱を起こされても鎮圧できる、イゼルローン要塞を攻略できると軍務尚書、統帥本部総長も認めたということだ。“イゼルローン要塞を攻略することはそれほど難しい事では有りません”、その言葉は嘘ではない。
「イゼルローン要塞にはグライフス大将とメルカッツ大将に行ってもらいましょう。グライフス大将には方面軍司令官も兼任してもらいます」
「ではミューゼル大将は宇宙艦隊に」
私の言葉に公が頷いた。確かに公の下の方が安心かもしれない、他の人間では変な遠慮をしかねない。しかし、宇宙艦隊はなんとも若い人間ばかりになったものだ。私でさえ年長者に入るだろう。
「では残りの艦隊司令官を決めましょう。これ以上の遅延は許されません」
「はっ」
公の言うとおりだ、これ以上の遅延は許されない。しかし何とも頭の痛い事だ、一体誰を選べば良いのやら……。
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