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銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第二十五話 イゼルローン方面軍
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と考えている。イゼルローン方面軍はイゼルローン要塞及びイゼルローン駐留艦隊を統括する。それによって両者を統一的に運用しようと言うのが公の考えだ。既にイゼルローン方面軍の事は軍務尚書、統帥本部総長には相談済みらしい。今回ブラウンシュバイク公に人事案が一任されたのもイゼルローン方面軍の案も含めて検討しろという含みが有っての事だ。

「小官は要塞司令官にグライフス大将、駐留艦隊司令官にミューゼル大将を置くべきだと思います。そしてグライフス大将にイゼルローン方面軍司令官を兼任させる。メルカッツ大将には宇宙艦隊に入っていただき副将的な立場で公を補佐してもらえればと思うのですが……」
シュトライト少将の意見に公は首を横に振った。

「それは止めた方が良いでしょう。ミューゼル大将は他人に頭を下げるのが嫌いな人ですからね。返って統一的な指揮運用が難しくなるかもしれません。幕僚達がそれを利用する危険性も有ります。あそこは司令官よりも幕僚達の反発の方が酷いらしいですから……」

公が顔を顰めている。シュトライト少将と顔を見合わせた。少将も顔を顰めている、多分私も同様だろう。確かにブラウンシュバイク公の言うとおり、あそこの幕僚達の反発は並大抵のものではない。前回の遠征でも呆れる事が何度となく有った。

「なるほど、そうかもしれません。それにミューゼル大将はグリューネワルト伯爵夫人の弟です。大将閣下がそれを悪用することは無いと思いますが周囲がそれを意識する事は有るでしょう。確かに下に付けるには不向きかもしれませんな」
私の言葉にシュトライト少将も頷いた。少将はウンザリした様な表情をしている。

厄介な御仁だ、本来なら一番下に就くべき人間なのだが種々の要因がそれを難しくさせている。
「公はどうお考えなのです。もしやミューゼル大将をイゼルローン方面軍司令官にとお考えですか」

問い掛けながら有り得ない話ではない、と思った。公とミューゼル大将は極めて親しいのだ。ミューゼル大将の下に居るケスラー少将、ロイエンタール少将、ミッターマイヤー少将はいずれも公が配属を手配したものだ。そしてミュラー少将は公と士官学校で同期生だった。公とミューゼル大将の繋がりは極めて強い。

なるほど、グリューネワルト伯爵夫人だけではないな。ミューゼル大将の周囲に居る人間はブラウンシュバイク公の事も考えるかもしれない。ますます誰かの下に付けるのは向いていないか……。そんな事を考えていると公が私の問いかけに答えた。

「それは拙いでしょうね。能力は問題無いと思いますが気質がちょっと……」
そう言うと公が苦笑を漏らした。
「気質、ですか」
「ええ気質が防衛戦に向かない……」

困ったような公の口調だった。はて、どういう意味だろう、……まさかとは思うが公はあの事を危惧している
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