第二十五話 イゼルローン方面軍
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ン要塞司令官、駐留艦隊司令官の人事だ。
要塞司令官シュトックハウゼン大将、駐留艦隊司令官ゼークト上級大将が後任者が決まり次第異動する事になる。ゼークト駐留艦隊司令官は先日の戦勝で上級大将に昇進しているがシュトックハウゼン大将も異動と共に上級大将に昇進する。ちなみにゼークト上級大将は統帥本部次長、シュトックハウゼン大将は軍務次官に内定している。
二人とも約四年間最前線で帝国を守ってきた。平時の四年ではない、戦時の四年だ、交代の時期だろう。在任中の二人には特に大きな過失は無かった。第六次イゼルローン要塞攻防戦では反乱軍を撃退している。異動も昇進も妥当と言って良いだろう。
そしてその後任人事だが宇宙艦隊の司令官人事と合わせてブラウンシュバイク公に一任されている。もちろん公から軍務尚書には人事案として提出されるのだがその案が拒否されることは余程の事が無い限り無い。それだけに案を作る我々には責任が重く圧し掛かる。
「妥当なのは要塞司令官にグライフス大将、駐留艦隊司令官にメルカッツ大将ですが……」
「そうなると宇宙艦隊は若手ばかりになります。平均年齢は二十代後半ですよ、総参謀長」
「総参謀長は止めてくれ、シュトライト少将。私が総参謀長なのは人事案の中だけだ」
私の言葉に公とシュトライト少将が微かに笑い声をたてた。
「失礼しました。しかしイゼルローン方面軍の件も有ります。それを考えるとミューゼル大将はイゼルローン方面に送るべきではありませんか、その方が自然だと思うのですが……」
「まあ確かにそうだが……」
イゼルローン方面軍、公が新たに作ろうとしている軍の一つだ。現在帝国の最前線、イゼルローン要塞には二人の司令官が居る。要塞司令官と駐留艦隊司令官だが同格の司令官であるため張り合う事が多く統一した指揮が執れずにいる。そしてその事が往々にして帝国軍に不利に働いている。
第五次イゼルローン要塞攻防戦ではその弊害が顕著に出た。あの戦いでは反乱軍による並行追撃作戦により要塞攻防戦は混戦になった。混戦を利用して要塞へ侵入しようとする反乱軍を帝国軍は要塞主砲により味方もろとも消滅させることで何とか撃退した。
反乱軍を撃退はしたが味方もろとも吹き飛ばしての撃退だ、決して喜べる勝利ではなかった。ブラウンシュバイク公もこの戦いの時イゼルローン要塞に居たらしいが酷い戦いだったと言っている。公がイゼルローン要塞には良い思い出が無いと言うのはこの時の経験も有るようだ。
戦後、当然だが味方殺しが問題視され当時の要塞司令官クライスト大将、駐留艦隊司令官ヴァルテンベルク大将は更迭されている。彼ら二人は昇進することなく異動になったのだ、帝国軍上層部の二人に対する怒りは大きかったと言って良いだろう。
ブラウンシュバイク公はこの弊害を無くそう
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