第六十五話 伊賀者その七
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「当家といってもな」
「今川家ですか」
「わしは今川家の家臣じゃ」
それ故にというのだ。
「そうなる」
「そういうことですか」
「そうじゃ、ではな」
「はい、これより」
「今川家の為に頼む」
「わかり申した」
「周りはよい忍が多い」
竹千代はこのことも話した。
「北条家の風魔を筆頭とし」
「信濃の真田家ですな」
「あの家は今は国人であるな」
「ですが家全体が忍であり」
そしてとだ、服部は竹千代に話した。
「かなりの強さも持っております」
「忍として優れているだけでなくじゃな」
「はい、個々の武勇もです」
「優れておるか」
「真田家のどの御仁も優れていますし」
「油断ならぬか」
「そして尾張の織田家は」
服部はこの家の話もした。
「織田弾正家に甲賀者が入っておりまする」
「滝川殿か」
竹千代は織田家のことはすぐに述べた。
「尾張にいた時にお会いした」
「そういえば殿は」
「前は尾張におってな」
「その時に」
「吉法師殿によくしてもらい」
その時にというのだ。
「あの方の家臣である方々ともお会いしてな」
「その中で、ですか」
「滝川殿ともお会いし」
そしてというのだ。
「お話して頂いたこともあり」
「ご存知ですか」
「うむ」
その通りだと言うのだった。
「あの御仁もな」
「将の才覚もありますが」
「忍としてもじゃな」
「かなりの御仁で」
「織田家もじゃな」
「優れた忍を持っておりまする」
「その忍が多い中でな」
是非にとだ、竹千代は服部に話した。
「働いてもらう」
「さすれば」
「その様にな」
「わかり申した」
「それではな」
こうして竹千代は服部を家臣として迎え入れた、このことは駿府に戻った時に義元に話したがその話を聞いてだった。
義元は笑いお歯黒で染めた歯を見せつつ竹千代に話した。
「ではこれからはでおじゃるな」
「はい、当家もです」
「よき忍を使えるな」
「そうなりました」
「どうも当家は忍には疎いでおじゃる」
「はい、拙僧にしましても」
今の義元の傍らにいる雪斎も述べた。
「僧は使えますが」
「忍はでおじゃるな」
「そちらは」
どうもと言うのだった。
「そうなので」
「ここで竹千代が忍を得てでおじゃるな」
「かなりです」
まさにというのだ。
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