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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第3話:少年は魔法を手に入れ、少女は歌を歌い出す
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何かを待ち続ける颯人。そんな彼の様子を、ウィズが少し離れた所からジッと見つめている。
と、不意にそれまで身動きせずにいた颯人が目を開けると空を仰ぎ見た。燦々と照らす太陽に、思わず目を細める。
瞬間、その太陽の輝きが陰り始めた。それだけではない。徐々にだが端から何かに食われているかの如く太陽が欠け始めた。
日食だ。太陽は月の陰に隠れ見る見るうちに黒く塗りつぶされる。
そうして太陽が完全に月の影に隠れ昼間であるにもかかわらず周囲が夜中の様に暗くなると、突然地面に赤い亀裂が走った。
足元にできた亀裂とそこから溢れる禍々しい赤い光に、しかし颯人は慌てることなく、遂に来るべき時が来たと言うかのように表情を引き締めた。
その直後、彼の心と体に想像を絶する苦痛が襲い掛かった。まるで体の中に熱く焼けた鉄を流し込まれたような、若しくは全身の血液が針に変化して膨れ上がったかのような苦痛。
体の苦痛に引っ張られ、心には絶望が広がり蹂躙する。
「ぐぅっ?! あ、がぁぁぁぁぁああああっ!?!?」
普通に生きていれば絶対に経験することのないだろう苦痛に、颯人は断末魔のそれに似た叫び声を上げた。体が内側から弾け飛びそうになる苦痛に心が挫け、生きることを諦めそうになる。
ついに異変は見てわかるレベルにまでなり、彼の全身にひび割れの様な亀裂が走りその裂け目から悍ましい紫色の光が溢れ出る。
そんな状況であるにもかかわらず、颯人はただ1人死んだ方がマシと言うほどの苦痛に耐え続けていた。
「いぎぎぎぎぎぎっ!? ぎぃがぁぁぁぁぁぁっ?! ぐぅぅぅぅぅっ!!??」
大の大人、いや訓練を受けた兵士であっても屈するような苦痛に、彼はひたすら耐え続けていた。何故なら、彼の胸には決して消えることのない希望の光があったからだ。
──俺は、俺は負けないッ! こんな、こんな痛み…………奏を失うことに比べたら屁でもないッ!! ──
思い返すのは今から3年前…………その時ウィズに突きつけられた、奏の死と言う彼にとって自身の死以上に残酷な予言。
その時のことを思い出し、そこで心に宿した思いを再び燃え上がらせ颯人は全身を苛む苦痛に耐え続けた。
遂には彼自身の体にも変化が現れ、全身に紫色の亀裂が走り今にも破裂しそうになる。
だが颯人は苦痛に屈することなく、絶望を跳ね除け耐え続けた。
──俺は、俺は絶対負けないッ!? 俺がお前の希望になってみせるッ!! だから、それまで待っててくれッ!!──
「奏ぇぇぇぇぇぇッ!!」
直後、彼の全身に走る紫色の亀裂が金色に輝く。
今この時この瞬間、この世界に新たな魔法使いが誕生した。
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