暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第3話:少年は魔法を手に入れ、少女は歌を歌い出す
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ぎらん勢いで噛み付いたのだ。

「ぐあぁっ?!」
「ごちゃごちゃ、うるせえなぁ──!?」
「止せっ!? これ以上はやめろぉっ!?」

 弦十郎の制止も聞かず、奏は残ったLiNKERを全て投与した。

 瞬間────

「ッ!? 適合係数、飛躍的に上昇!?」
「ぐぅぅっ!? ぐ、か…………うげぁっ?!」

 突如としてそれまで何の反応も示さなかったシンフォギア・ガングニールと奏の適合係数が急上昇。

 その間も血を吐き続ける奏だったが、先程取り押さえようとして1人のスタッフが噛み付かれたからか今度は医療スタッフの動きが鈍い。

 その事に業を煮やして医療スタッフと弦十郎が怒鳴りつけようとした時、徐に蹲っていた奏が笑い始めた。

「ひひ、ひひひ…………」

 不気味に笑う奏だったが、翼からは死角になっていて彼女の姿が見えない。

 一体どうしたのかと窓に近付き、奏の姿を確認しようとした瞬間、彼女の目の前に出し抜けに血にまみれた両手が叩き付けられ下から狂気と歓喜に彩られた目をした奏が顔を出した。

 至近距離、真正面からその顔を見てしまった翼は、堪らず悲鳴を上げ尻餅をついた。

「きゃぁぁっ!?」
「ひひ…………やったぁ、やったよ颯人ぉ。あたし、手に入れたよ────!!」

 恐怖に慄く翼に気付いていないかのように、歓喜の声を上げる奏。その口から、一節のフレーズが紡がれた。

「Croitzal ronzell Gungnir zizzl」

 奏がその一節のフレーズを口ずさんだ瞬間、彼女の体が光に包まれる。眩い光が収まった時、そこには体にフィットするボディースーツを纏い、角のついたヘッドホンのようなヘッドギアを身に付けた姿の奏が居た。

 血反吐を吐きながらも、執念によってシンフォギア・ガングニールの力を手に入れた奏。彼女は自らが手に入れた力に歓喜していた。

「これで、奴らを殺せる! そして、あの白い奴から、取り返せる! 絶対、助けるから。だから、待って、て…………颯、人ぉ……」

 歓喜に身を震わせていた奏だったが、突然糸が切れた人形の様にその場に崩れ落ちた。同時にその身に纏っていたシンフォギアも消え、元の姿に戻る。

 それまで爛々と輝いていた目は白目を向き、半開きの口からは止め処なく血が零れ落ちていた。

 漸く本当に大人しくなった奏だが、医療スタッフは誰も動けない。
 奏がシンフォギアの適合者になれた、それは確かに喜ばしいことなのだが、彼らが奏を見る目には一様に畏怖の念が宿っていた。

 そんな彼らを、弦十郎は一喝した。

「馬鹿者ぉっ!? 何をぼぉっとしているッ!? すぐに中和剤で体内洗浄をするんだ、早くしろぉッ!?」

 弦十郎の一喝で我に返った医
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