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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第3話:少年は魔法を手に入れ、少女は歌を歌い出す
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の装備なのだが、誰でも扱えると言う訳ではない。
 扱う為には相応の素質が求められた。ノイズと戦う力を求めた奏だが、彼女はこの適合係数が低過ぎた為当初は装者となる事が出来なかった。

 その状況を打開すべく、二課の技術主任である櫻井 了子主導で奏にLiNKERと言う制御薬が投与されることとなった。これによって奏はシンフォギアを纏うに足るだけの適合係数を得る事が出来る。

 翼が奏と言う少女に特に恐怖心を抱いたのはその時のことだ。

 通常の投与量だけでは適合係数が上がらず、過剰ともいえる量を投与した時…………。

「ッ!? うあぁぁぁぁぁぁっ?!」

 突然叫び声をあげ苦しみだした奏。LiNKERは確かに適合係数を上げてはくれるが、同時に劇薬であり場合によっては死者すら出す危険があった。

 奏を苦しめているのもその薬理作用であり、想像を絶する苦しみに奏は拘束を引き千切る勢いで苦痛に身を捩っていた。

 その様子を、拳を握り締めながら眺めるしかできない弦十郎。

 暫く奏の悲鳴が処置室から響いていたが、了子はこれ以上は限界と施術をやめさせようとした。あの様子ではこれ以上続けたら本当に死んでしまう。

 肝心のシンフォギアも適合係数が上がる気配を見せないしで、半分諦めかけていた。

 投薬と施術を止めた瞬間悲鳴は止み、手術台の上の奏は消耗からかぐったりとしている。
 その奏を安静にさせようと医療スタッフが拘束を外し移動させようとした。

 瞬間、彼女はカッと目を見開くと自分に近づく医療スタッフをなぎ倒しまだ投薬されていないLiNKERを片っ端から引っ掴みまだ医療スタッフが動けていないのをいいことに次々と自分で投薬し始めた。

「冗談じゃねえぞ、こんなところで止まってられるか! あたしは、取り返すんだッ! あたしの、残された最後の希望を────!?」
「な、何をしているッ!? 急いで彼女を止めろぉっ!?」

 明らかに危険なレベルの過剰すぎる投与量に、弦十郎が慌てて止めるように指示するがそれよりも先に奏に異変が起こった。

「ぐっ?! うぐ、ぐ…………うぶぇっ?!」

 突然動きを止めたかと思うと、口から大量の血反吐を吐きその場に蹲った。だがその手にはまだ中身のあるLiNKERが入った注射器が握られている。

 これ以上は本当に彼女の命が危ない。

「急げッ! 彼女からLiNKERを取り上げ、体内洗浄だ! とにかく薬を彼女の体内からかき出せッ!」

 医療スタッフが蹲って血反吐を吐いている奏に近付き、その手からLiNKERを取り上げようとした。

 だが奏はそれを許さなかった。医療スタッフの手が彼女の手に握られたLiNKERに触れようとした瞬間、彼女はその医療スタッフの手に指を食いち
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