第39話 =私の勇者=
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の恐怖を感じさせる言葉をこの男は何の抵抗もなく言い放ったのだ。
「…そ、そんなの…!?」
「おかしい、とでも言いたげだなぁ!…んん…いいねぇ…現実でかげないのが本当に不幸だ」
突然私の髪を持ち上げ首筋に鼻を当てにおいをかぐマルベリー。いつもならここで「変態!」と突っ込みそうなところだけど今の私の体を支配しているのは恐怖以外の何者でもない…
「…そろそろ麻痺が切れるか…ほら、もう一回飲んどけや」
「…ぐっ!?」
無理やり瓶を口にくわえさせられその中に入っている液体を体内に入れさせられる。これにより私の体は麻痺の時間がさらに上乗せされてしまった。
「クックック…ほらぁ見てみろよ向こう…黒の剣士も死にそうだぜ?」
「…キ、キリト…」
さらに髪を引っ張られ上半身が浮いた状態でキリトが倒れている方向を見せられる。そこにはクラディールがキリトに深々と剣を刺している。
「いいざまだなぁ…さて、こっちはこっちで楽しもうぜ…」
そういいマルベリーは私の上半身を抱え頬に顔を近づけてきた。その顔を横目で見ると舌を出して私の顔をベロリと舐めているのが目に入ってきてしまった。ハラスメント警告も表示されているが今は体が麻痺しているため手でその部分をタッチすることも不可能…あってないようなものよ…こんなものは。
「…や、やめっ!」
「う〜ん…甘いなぁ…涙は、どうかなぁ!!」
いつの間にか流していた涙をもそういいながら舐め、大声をあげて何かを言っているマルベリー。でも、もうその言葉すら聴きたくなかった。…こんなことをされたなら、もう死んじゃってもいいわよね……
「リクヤ……」
「また、そいつの名前かぁ!!…いいぜ、その名前すら忘れるように俺を刻み込んで…な!?ぐはぁ!!!」
驚愕の叫びが聞こえたかと思ったらマルベリーの体は遠くへと飛ばされていた。そして支えを失った私の体をふんわりと受け止めてくれた人物がいた。
「…悪い、遅くなった………アスナより早く出たはずなのになんでアスナと同時なんだろうな…」
本気で謝罪の気持ちが入ったその声を聞き、その声の発信源は一緒に来たらしいアスナをみて苦笑していた。
「リ…リク…」
「無理してしゃべるなって…大丈夫、俺はリクヤだ。偽者でもない、本物だ」
「…リクヤ…!」
私にとってその声はどんな勇者よりも、英雄よりも上をいく力強く、でもとても優しい声に聞こえた。
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