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雲に隠れた月は朧げに聖なる光を放つ
前章2 崩壊は肉体まで
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に違いないからだ。体操の練習に行けなくなる可能性もあるので、俺は威圧感を少し出しながら了承させた。

(やれやれ‥‥人生波乱万丈か)

俺は思わず溜息をつくのだった‥‥‥。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

二年生

「よう緋鷹」

「おう林」

俺たちはいつものように話し始める。二年生になって同じクラスになったので、よく話すようになったのだ。

「あれ?緋鷹も林も」

そう言って話しかけてきたのは、クラスメイトの恷 蜂起(キュウ ホウギ)だ。彼は中国人だが、何故か気が合いよく話すようになったのである。他のクラスメイトからも「三馬鹿」みたいな感じで呼ばれている。

「おお、蜂起。お前、昨日のテレビ見た?」

「ああ、あれか。面白かったわ。特にあのマジックな」

「うん、俺はついていけんわ」

「それより緋鷹。お前いつ告白す『バチコンッ!』グボア!?」

余計なことを言いそうだったので俺は頭を「軽く」叩く。

「おい、今軽いって感じじゃなかったぞ」

「知るか‥‥てかなんで俺の心の声を聞いてるんだよ」

そんなことを話しながらも談笑する。そこへやってくる人影が一つ、。

「あ、みんな何話してるの?」

「‥‥‥わりい、俺は」

「あいよ」

蜂起が立ち去る。彼が姿を見た途端に立ち去る人とは‥‥‥。

「金澤‥‥‥なんだ?」

そう、クラスメイトの金澤 理沙(カナザワ リサ)だ。林と金澤は、同じ部活に所属しているらしい。確か、吹奏楽部だ。林と金澤はよく話すらしく、俺が林と話していても混ざってくるのだ。

ちなみに蜂起は嫌いらしい。なんでかは分からないが‥‥‥。ちなみに金澤は小林と従姉妹の関係だ。クラスこそ小林と俺は別だが、会えば普通に話すぐらいの仲だ。そのおかげなのか、金澤ともよく話す。得意教科も同じなので、所謂ソリが合うというやつだ。

「ねえ聞いてよ。またあの先輩がさ‥‥」

話し始めてすぐに愚痴である。俺は目元をピクピクさせながらも聞き流す。

「それでね‥‥‥私がね‥‥‥」

青筋が量産されていく。こっちの気も知らずに愚痴を言うもんだから少しずつイライラしてくる。それに気がついた林が止めようとしてくるが、とりあえず静止する。まだなんとかなる。

「‥‥‥だからね、股間蹴り飛ばしてやったんだー」

先輩、憐れである。俺は顔を隠しながら適当に答える。

「あ、そうかー。お疲れ」

お決まりとなったテンプレの答えを言う。ついでに愛想笑いだ。俺は聖が死んでからというものの、本心から笑うことができなくなった。これは小林の前でも変わらない。代わりにできるのは愛想笑いだけだ。陰では「怖い」とか「気持ち悪い」と言われているらし
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